ライニングの名前

 善人・悪人・人格者・嘘つき・実業家・政治屋・苦労人・鬼・サヨリ・神・仏と

   人は誰でもいろんな視点で 色々に表現されます。

それに加えて、京都にいたときゃ〇〇と呼ばれたの、神戸じゃ××と名乗ったの・と

     自称も様々・・

ライニングも状況や視点の違いによって 例えばビニルエステルライニング、ピグライニング、スプレー工法、耐酸工事、防水被覆、フレークライニング、タンク底板ライニング等と、色々に命名されます。
それに加えて、施工業者や材料メーカーが ダイヤモンドシステム、ゴールドライニング、ゴージャス防蝕、禿鷹工法といった類の無数の 商標 を作り、蔓延させます。
その数は人の名の比では無いかも知れません。
  そんな名前のゴミ捨て場に立っていることに気付かずに
  一つのライニングにはただ一つの名前がある・・・と勘違いしていたら・・
  ・・収拾出来ない大混乱の予感がします・・

  そんな方々のために 名前を整理しましたので、混乱解消の足しにして下さい。

       その@・・名は体を現す

            ( 各種の客観的情報を内包する名前 )


材料の種別を表す名前

使う素材の一般名をそのまま表示するやり方です。例えば・・
エポキシ樹脂を使った→エポキシライニング
ウレタン樹脂を使った→ウレタンライニング   以下同じ様に

不飽和ポリエステル MMA ビニルエステル フラン フェノール樹脂 ポリエチレン 超高分子量ポリエチレン ポリプロピレン PVC ゴム セメント グラス(ガラス) 耐酸レンガ 耐酸タイル 鉛 セラミック グラファイト 耐火煉瓦 抗火石 キャスタブル ステンレス といった主材料名に”ライニング”を付ける命名法です。
タールエポキシライニング 硬質PVCライニング SBRライニング のように、より細かい品種名の使用も一般的です。

これらの材料の物性は個別の品種によって広い範囲にバラツクとはいうものの、その種全般に広く共有される物性もあります。
材料名による表示にはその共有物性を暗示する という利点が有ります。
(聞く方がその共有物性を知っていれば・・の話ですが)

複合材料名を表す名前

ライニング用樹脂は大半のケースでグラスファイバー 硅砂 ガラスフレーク等といった”充填剤”と混ぜ合わせて使われます。
そうする目的は、強度を補完したり、熱膨張率を下げたり、環境遮断性を向上させたり、材料コストを下げたりと様々ですが、何であれ、その様にして目的を持って作られた混成体のことを”複合材料”(Composit Matelial)と言い、典型的な複合形式には典型的な名前があります。

例えばグラスファイバーやアラミドファイバー等の高強度繊維と組み合わせて引張強度を大きくした複合体は”FRP”と言います。
同様にフレーク状の充填材と混ぜると”フレークライニング材”になり、環境遮断性や耐水蒸気拡散性等が良くなります。
硅砂などの粒状の物と組合わせると”樹脂モルタル”となり、耐摩耗性向上、材料コストの低減等が出来ます。

そういった複合材料に付随する諸特徴を(言外に)伝える為に、それぞれFRPライニング・ フレークライニング・ 樹脂モルタルライニングと表示します。
(現時点で防蝕に使う複合形式は基本的にこの三種のバリエーションです)
エポキシフレークライニング  ウレタンFRPライニングといった具合に材料名と複合形式をセットで表示するやり方も一般的です。

機能や物性を表す名前

ライニングは防蝕以外のいろいろな目的のためにも行われます。
(もちろん、その為にはそれに合った特徴や個性を持たせます。)
床を滑らなくする為のノンスリップライニングや、水溜りが出来ないようにする為の透水性ライニング、保冷や保温の為の断熱ライニングなどがそれです。
そういう施工目的を明示する為には、それを名前にします。

防蝕 防水 透水 防塵 防滑 潤滑 断熱 遮音 耐酸 耐磨耗 電気絶縁 導電 帯電防止 導電発熱 耐熱 耐寒  耐火 難燃 耐UV 耐放射線 耐溶剤 無黄変 クラック追随性 高硬度 軟質 衝撃吸収 抗菌 非粘着 ・・ 等々

これも前二者と組合わせて、例えば、難燃性耐溶剤性ノンスリップエポキシFRPライニング という具合に表示する事があります。

特殊な環境や下地状態で施工する事を表す名前

(普通の材料や工法が適用出来ない)特殊な施工環境で使われる工法や材料である事を強調する為にはその施工環境を表示します。
例 水中ライニング 湿潤面ライニング 油面ライニング 錆面ライニング
(通常使うのはこの位です)(前三者と組み合わせて名前を付けるのも自由です)

特定の施工対象を表す名前

配管ライニング (管更生工事) 石油タンク底板ライニング 床ライニング 屋上防水 下水施設防蝕 上水施設防蝕 コンクリート防蝕(セメントライニングやコンクリートを使った防蝕と紛らわしいのでコンクリート構造物防蝕と言うべきかもしれません) 海洋(構造物)防蝕 道路床版防蝕 等・・説明は不要でしょう。

施工技法を表す名前

施工法そのものが話題や技術の核心になるケースがあります。
例えば、曲がりくねった細い配管の内部はボールピグを使って塗布したり、ホース状に作ったライニング材を押し込んで接着したり、引き込んで接着したり・・といったやり方でライニングできますが、一般的な刷毛やローラー刷毛による手作業ではライニングできませんし、スプレー施工も出来ません。
そういった個別の技法の特性を表現したければそれを名前にします。
例えば反転工法ピグライニング回転ベラライニング捨型枠工法(捨型枠ライニング)RIMスプレー工法、FRPスプレーアップ工法、インサートライニング、アウトサートライニング、回転成型、溶射、流動浸漬、ハンドレイアップ、コテ仕上げ・・等です・・

ライニング材の性状を表す名前

施工時のライニング材の性状は大抵は シート状か パテ状か 液状か モルタル状
ですが、そのことによって施工の仕方や、適用対象、その他が変わる事があります。
そういった内容を伝える為の名前です。
シートライニング、アンカー付きシートライニング、モルタルライニング、パテ(あるいはペースト)ライニング・・などです
なお、ライニング材の性状は施工法をある範囲に限定しますから、その意味でこの名前は施工技法を表しているとも言えます。

以上の7種の名前は、何れもしばしば 組合せて使われます。
世界中どこでも通用する名前です。


      そのA・・名は体を誤魔化す

上記のような、一般名の代りに、“固有名詞”が付けられる事があります。
哲学的に言えば、“純粋な”固有名詞には言語としての“伝達情報”は無いそうですが、商売となれば、あの手この手で色々な“情報”が付加されます。

形容詞

特殊・高性能・ハイテクを駆使した・新開発・定評のある・地球政府認定・宇宙陸軍採用・・といった枕詞で飾り立てる手法ですが・・・・・
・・・砂漠の民に日本の感覚で「今日は!良いお天気ですね。」・・などと言ったら、「この馬鹿、何ぬかしとるんじゃ?? という顔をされます。  彼らの“良い”天気というのは“雨か曇り”の事ですから・・・
    つまり、何であれ形容詞の類は客観性に欠けるのが難点です。
(だから、技術文には、原則として形容詞は使うなという事になっています)
(このホームページのタイトルの防蝕などという表現もこれです。スンマセン)

商標

ごじら 死神 デビル タイガー サソリ にしき蛇 等と名乗ってもまさか本物がリングに上がって来るとは絶対誰も思っていないので、詐欺だ嘘つきだという騒ぎにはなりません・・が・・しかし・・
もし 今誰かがルーテーズとか力道山というリングネームを付けたら・・・もはやリングネームと言うより“ただの偽者”です・・・が・・本物と勘違いする人も出ます。
それと同じく、例えばもし、自社のエポキシライニングに“ポリエチレンライニング”という商標を付けて売り出したら・・・商標には、そういう類の、“ややこしい”のがあります。
             ちゃんと見分けましょう。

また、商標というのは“うちの製品だ。よその物と区別してくれ。”と強調する意味もありますすが、生憎、樹脂ライニングというのは仕様が同じなら、基本的に、誰がやっても同じ物が出来ます。
不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フラン、MMA,等ユーザーが変性し難い材料を使った仕様は特にそうです。
こういった物のライニングで違いが出るとすれば、ほとんど職人の施工技能の差だけですから、古い、専業の防蝕業者はこういう一般的仕様には、例えばビニルエステルFRP2Ply といった一般的表現を使い ことさらに〇〇工法〇〇ライニングといった固有名詞は付けない習慣です。
大体、そんな普通の仕様に いちいち固有名詞なんか付けてたら、客より先に自分達が混乱します。

・・・オイこのステテコ工法ってのはどうやるんだ・・・エポキシモルタルだよ・・・だったら始めからそう言え!・・で・・このステテコスーパーZ工法ってのは?・・それに上からFRPを被せるんだ・・・じゃこのステテコシャン工法は??!・・エポキシ樹脂使ったレンガ貼りだよ・・するとこのステテコレジンてのはエポキシ樹脂のことか?・・・其のとおアーっくく首絞めないでー・・・俺が付けたんじゃない! 馬鹿社長が・・てな事になりかねません。
 しかし・しかし・・・最近、なぜかこの種の名前が大増殖中です・・何考えてんだか・・・・・

材料の名前

テフロン(デュポン)、ナイロン(同)、マジックテープ(マジックテープ)、味の素(味の素)
、超合金(バンダイ)、アスピリン(バイエル)
これらは全部( )社の登録商標です。つまり商品名であって一般名ではありません。
(超合金だけは商品名というか何と言うか・・つまり合金の名前ではは無くて玩具名の前置詞なんですが・・そういう合金が本当に在ると思っている大人も結構居るようで・・)
(と思っていたらNi Co Cr リッチの耐熱合金耐熱合金あるいは超合金とも言うそうです。うーむ世の中複雑)

商品名が有名過ぎたり、愛されたりすると正式名は何処かに消えてしまいます。
正式名が無名過ぎても、嫌われても、同じ状態になります。
      有機化学物質の正式名が その嫌われ者の典型です。
(長ったらしい 舌噛みそうな カタカナと数字の羅列なんて、出来ることなら見ずに死にたいと、誰しも思います。私も思います。)
・・・ライニングに使う樹脂は化学製品です・・だから、その正式名は当然毛虫のように嫌われます・・よって・・代りに慣用名が使われます・・ビスフェノール系ビニルエステル樹脂とかイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂とかいうのがそれです・・しかしそれですら普通は嫌がられます・・そこでビス系ビニルエステルとかイソポリとかの略称
で済まそうとします。
材料メーカー間の取引なら正式命や略称が使われますが、一般人相手に売る場合は毛虫名はタブーですし、他社品との区別も必要です。
だから語呂が良い、短い、イメージが良さそうな商品名を付けます。トーキョートッキョ
キョカキョクキュキャキョ樹脂なんて名前を付けるメーカーは絶対いません。
例えば上記ビスフェノールA系ビニルエステル樹脂のスタンダードタイプは
ネオポール8250(日本ユピカ)、ディックライトUE5101(大日本インキ)、リポキシR806(昭和高分子)、エスターH6500(三井化学)という具合に、なかなかスマートです。
防蝕業者はこれらを購入してFRPライニング等を行います。
・・で・・仕様書にこれらのスマートな名前が記載されるか?・・・されません。
購入された樹脂はその業者のラベルに張替えられ、違う名前になります。
メーカーに居たときゃリポキシと呼ばれたの、防蝕屋じゃ○○と名乗ったの・・です
仕様書や見積もり書にはその○○が記載されます。
防蝕会社のカタログに並んでいる樹脂名はもしそれが不飽和ポリエステル・ビニルエステル・フラン等であったら、基本的にそういう経緯の名前です。(これらを製造している防蝕施工会社は、多分世界中に一つもありません。)

   この改名によって、材料の素性は“素人には”分らなくなります。

         なぜわざわざ名前を変えるのか?

    材料名を秘密にしておきたい諸々の事情があるんです。例えば・・

皆様は物を買うとき、値段の高低を何で判断なさるでしょうか?

・・・商品に付けられた値札・・・そうです、大抵はそれで十分です。
カミサンの買い物に付き合うと、値札だけで瞬時に高い、安い、と判断しているようで、私メがその辺の物を適当にカゴにポンと入れたりすると、十中八九キッとした目つきでこちらの判断を却下してしまいます。
どうもあらゆる物のあらゆる時期の値段の相場が頭にインプットされているらしく、それと比較している様です。 周囲を観察すると、大抵の主婦はこれが出来るようです。
(さすがに家計を預かる責任者。どなたも見上げたプロ意識です。)

それに引き換えゼネコンの購買担当者のプロ意識の欠如は目を覆うほど。
値札だけで高いか安いか判断出来る人材はほとんどいません。
だから見積書に一式いくら と書いて持っていくと、先ず受け取りません。
頭に相場がインプットされてないので、高いか安いか判断出来ないからです。

その、能力不足、勉強不足、職務怠慢を棚に上げ、カバーするために、
(発注者という強い立場を悪用して)原価計算書を出せ、と要求します。 
原価に近ければ近いほどお買得、と判断するつもりのようです・・ゲンナリ・・)
 ウソじゃありません本当です。
材料、消耗品その他の数量単価、どんな職種の人間が何人実働するか、その日当は
いくらか等といった事を細かく記入した見積書を要求するのが普通です。
そんなプライバシー侵害に類する事を、見積明細などと称しています。・・・アホくさ・・

スーパーやレストランでくれる明細は、何を買ったか、それがいくらか、という購入品リストであって、彼らが言う意味の明細ではありません。
だからもし例えば、レストランでもホテルでも電器店でも何処であれ、彼らと同じように、
俺が注文したチャーハン茶漬けの値段設定が 高いか安いか妥当か、判断するのに必要だから、材料費と従業員の給料と労働時間の一覧表を出せ・・・と、要求したら・・・・すぐ110番通報されます。
どう考えても彼らの常識は一般社会の非常識です。

大体、値段をどう設定するかは売手の勝手であり、それに対し
高い安い、買う買わないの判断能力を用意するのは買手の責務です。
値札を見て高いと思ったら他の安い物を探せば済む事で、他人の家計簿を覗くような犯罪的行為をしなきゃならない理由はありません。
ゼネコンの購買係諸氏は、主婦の皆様の爪の垢でも貰って、煎じて飲むべきでしょう。
    ・・・何故こんな反社会的悪習がゼネコンに蔓延したのか・・・
彼らへの大口発注者であり、プロ意識欠如、職務怠慢の牙城である役所の人々に悪影
響されたせいではないか、と邪推されます。証拠はあります。役所もやってるから。

おまけに、見張りの日当はいくら、雑役はいくら、現場管理者はいくら、熔接工はいくら、足場屋はいくら、と細かく決めた職種別単価表というのを作り、ゼネコンは工事を見積る時の手引きに使わされています。 そのお陰で、“低賃金で働く生物”に分類されてしまった我々樹脂屋の経費は、自動的に(安い単価に)決められてしまいます。
(国の検定で、天は人の上に人を作らず・・職業に貴賤無し・・などという内容の道徳教科書 全国にばら撒いといて、それは無いぜよ・・おまはんらに日当決めて貰わんでもエエわい!・・余計なお世話じゃ・・ブツブツ・・オイ??聞いてるのか!!・・
・・マそれは冗談として・・・・ここから本論です。

  そんな邪悪な連中から仕事を頂き、利益を確保するにはどうするか。

対抗して原価を判らなくするしかありません。 連中の無知を利用して・・・・
材料や工法を、神秘の霧に包まれた得体の知れぬ物にするのが一番です。
そこにドカドカと利益を上乗せして、“原価で御座います” と澄ましていれば、どうせ不勉強な連中ですから、何時までたってもバレる気遣いは有りません。
その他念のため、どんな下らぬ事も、可能な限り徹底的に隠蔽しておきます。

汎用製品や標準工法にことさら固有名詞をつける利点は、大体そんな所です。

(少なくとも、もし我々がやるなら、そういう魂胆です・・よその事は知りません)


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