接着の剥し方&“剥し”を前提にした接着

      接着した物を剥す方法

        接着した物の改修は剥しから始ります。
         剥すためには接着の弱点を突きます。


「接着の弱点をカバーする」というのが強く接着するための方策ですが、それとちょうど反対の関係にあります。 剥れ難い接着物の作り方 参照)    弱点は何処か?
 


剥しのキーワードは 熱、 溶剤、 ピーリング(皮むき)

接着剤というのはどこかで必ず液状になって被着体表面に濡れ広がり、次いで固化することによって接着力(耐破壊力)を発生させます。
接着とは何か  接着剤の作り方 参照 )


だから逆に固体から液体に戻せば耐破壊力を失います

接着剤にその変化を起こさせるのが 溶剤 です。
非架橋型接着剤に対しては特に有効です。架橋型接着剤と非架橋型接着剤・・参照
一方架橋型接着剤は熱や溶剤では融解も溶解もしませんが、それでも多少は軟化するので、常温よりは剥し易くなります。

そして接着剤はどんな物であれ、ピーリング つまり蜜柑の皮を剥く様な形式の剥し方に最も弱いので、そういう力の掛け方をすれば一番容易に剥せます。

だからその意味でキーワード3点セット全ての樹脂系接着剤に共通です。
(セメントのような無機系接着剤は、一般的に、桁違いの高温でないと軟化しませんし溶剤にも溶けませんので、使えるキーワードはピーリングだけです。)

●それ以外の剥しのテクニック

水中での煮沸
石やガラスや金属等を瞬間接着剤で接着して鍋に入れて煮沸すれば直ぐ剥れる様に、大抵の接着が、これだけで破壊されます。
(但しこのやり方が通用するのは金属、ガラス、陶磁器、石材等の親水性の被着体だけのようです。私達が実験した限りでは、ポリエチレンやポリプロピレン等の疎水性被着体の接着部はあまり水の影響を受けません。)

剥離剤
苛性ソーダ・アンモニア・酢酸等樹脂にきつい働きかけをする薬剤や溶剤や界面活性剤等を組み合わせると色々な塗料や接着剤を膨潤劣化させることがあり、そんな性質が強くなるように工夫した配合品は特に剥離剤という名前で呼ばれます。
(そういう意味で、溶剤は代表的な剥離剤です

熱衝撃(急熱急冷)
線膨張率が異なる硬い被着体を硬い接着剤で接着したものは、急加熱急冷されると、発生する過大な界面応力によって接着部が破損することがあります。
それを剥しに応用出来ます。

力任せ
大抵の接着は、接着剤と被着体の接着界面楔を打込めば壊せます。
コンクリートのような脆弱な表面に接着されたものは、このやり方で、被着体(コンクリート表面)を破壊するのが効果的です。
被着体が頑丈な場合は、⇒接着剤を破壊します
”接着剤の選び方”で説明した様に、接着剤が硬ければ硬い程、この剥し方に弱くなる傾向があるので、場合によっては、「冷却して硬く脆くして壊す」というやり方が有効です。
その他、サンドブラストや高圧ウォータージェットで、接着層や被着体表面を削り取る方法もあります。(5000Kg/Cuくらいの圧力になるとFRPも瞬時に“切れ”ます。)

   剥す為の接着・・・“剥れ”も技のうち

     “剥れ”る事を積極的に利用するという用途が有ります

 使用中は剥れず、剥したい時にサッと剥れる接着構造は作れるか?
 作れます。・・剥したいと“思う”だけで剥れるような不気味な接着構造は作れませ   んが、“適当な手段”によってサッと剥れる様にする事は可能です。

原理は・・接着剤あるいは接着構造に“隠れた弱点”計画的に作っておき、必要な時      に その弱点を突いて剥す、という仕掛けです。

例えばホットメルト接着剤を使った着脱がその典型であり、これを使えば、常温の使用では剥れず、加熱すれば剥せます。
(だから、ねじ  ねじ回しで着脱する様に ホットメルト接着剤 と ヒーターで着脱する構造が作れます。)

実例で説明しましょう
次の写真は私たちが試作して10年来、施工現場で愛用している“鉄やコンクリートやタイル等の平面にブルーシート端部を固定できる仮設用ファスナーです。
鋼材、コンクリート、タイル等の表面にスピーディーな着脱ができます。
(当然、接着力はガムテープや両面テープより格段に強力です)

余計なお節介でしょうが・・・加熱手段の紹介

熱源は、直火・熱風・赤外線・化学反応(反応熱)・超音波振動(摩擦熱)・電熱ヒーター・高周波誘導加熱など、色々あります。 電気回路を使えば、遠隔操作で特定の箇所を自由に剥す・・ことも可能です。(見本↓)

     次の様な利用例も有ります

水洗いで繰り返し使える 掃除用粘着ローラーは水に濡れると粘着力が消え、乾くと復活するようになっています。
壁に投げつけるとペタペタとくっつきながら降りてくる蛸の玩具は耐剥離性をわざと小さくした粘着性プラスチックの成型品です。(粘着性は粘着ローラーと似ています)

大きな石油タンクの底板の熔接部は定期的な検査が義務付けられていますが、その時、防蝕塗膜は検査の邪魔になります。その除去にはかなり大きな費用が掛ります。
それを見越して、薄い塗膜の場合は(ショットブラスト超高圧洗浄で)落し易い材質の塗装にし、FRP仕様の場合はピーリングで剥し易い接着プライマーを施しておけば、将来の検査コストの低減が約束されます。

  リサイクルを考えた場合・・剥し易い接着は、分別の役に立ちます。
あるいは(分別とは別のアプローチで、)“(被着体のプラスチックと)一緒に融かしても再生品の物性に悪影響を与えない接着剤”というコンセプトもあります。
   (手前味噌ですが弊社のポリオレフィン用接着剤のSKIP66はそれです)

  剥しを想定した接着には他にも色々な形式と用途が考えられます。


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ホットメルト接着剤をプレコーティングしたファスナーをトーチを使って手早く接着して行く

                ⇒                 ⇒
シートにファスナーのピンを刺しながらキャップでしっかり固定する・・以上終り
剥す時はピンの根元をカットし、キャップを外してシートを剥し、加熱してファスナーを外す

          ⇒           ⇒         ⇒
@SUS板に電気絶縁塗料を塗り、其の上に導電発熱塗料を塗ったもの。(面発熱
Aその裏側にホットメルト接着剤(弊社SKIP66)でポリエチレン製アーチと鋼製スプリングを接着する。アーチ中央に無理矢理押し込んだスプリングにご注目下さい
B電気を流す・・・結果・・・ショボ過ぎる実験に途中で自己嫌悪になったので写真は省略。
               (代りに言葉を入れておきます・・ジワジワピヨ-ン・・となりました
閑話休題
余談ですが・・この導電発熱塗料は温度が上ると電気抵抗も上って発熱量を自己制御する仕組になっています。
 このサンプルは電圧100Vに対して温度が150℃になる設定だそうです。 製作 Mr高澤 高澤って何者だ?と気になる方は(ここorご来社下さい・・エネルギー保存の法則など知った事か!ジュールもカルノーもおととい来やがれ!・・と言っている(としか思えない、)無茶苦茶な・・(としか思えない)自説をガンとして譲らず、“これでクリーン発電所を作るんだ”という壮大な夢に向かって停滞中です。 (関係無い話ですが・・さすが新潟出身!!という、年に似合わぬ大酒豪)
「電気を流すと、面発熱する塗料」という特徴は、何か使い道が在りそうに感じます・・HPご来訪の皆さんのアイデアに利用出来ませんか?・・何か閃いたらBBSなりメールなりでお知らせ下さい。もちろん高澤氏のHPに直通も歓迎です。

   残念ながら、高澤氏は’03年夏 亡くなられました。ご冥福をお祈りします。

補足・・・静電気の帯電という現象は10の9乗Ωくらい以上の表面抵抗で生じるとされていますので、帯電防止は10の6〜7乗Ωくらいに抵抗率を下げる程度で達成出来ます。塗料であれば、少量の界面活性剤やグリコール類等を添加して湿気を吸着し易くしたりするだけでも、そうなります。 湿度が少し上がったり、空気が少し汚れたり、洗剤で表面を洗ったりしても達成されます。 一方導電発熱は10の0〜3乗Ωの世界ですから、そういう方法では達成出来ません。