設計例・施工例


     @水族館展示水槽、防水FRP撤去、及び、再ライニング
(現状、コンクリートの上に、不飽和ポリエステルFRPライニング・・・表面が荒れ、ブリスターが発生している。)

ユーザー要望
観客の目前で施工するので、音・振動はできる限り出さない。
悪臭を発生させるものは、絶対不可
汚れを落しやすく、耐久性が良い仕様:表面が平滑、色は指定色
⇒エポキシFRPを選び、その材料に以下の項目を付け加えた。
弊社で付け加えた項目
飲料水テストに、合格できるもの。
環境ホルモン等の問題を、生じないもの
吸水率が小さく、グラスファイバーと馴染みがよく作業性に優れ、硬化が早く、湿度の高い状況でも、表面仕上りの良いもの
以上の条件を満たすため次の材料と仕様を選んだ・・・
無溶剤ビスフェノールFエポキシ(ポリアミン硬化)FRP2PLY(ガラスマット2枚重ね)仕様を作った。(他に、超硬質ウレタンFRPも考えられるが、コストと作業性と実績の点で、エポキシが勝ると判断した。)
FRP仕様にしたのは、厚さを平均化させ、線膨張率をコンクリートに近付けるため
耐久性としては、経験上1PLYで十分とは思われるが、万が一膜欠陥が出来た場合、部分修理不可能な対象物なので、安全のため、1枚追加した。
これ以上の追加は、利点よりも“マイナスに働く可能性が大きい”という理由で2PLYに止めた。


    Aガス井戸用塩化ビニール樹脂パイプの継ぎ手(ソケット)補強


ユーザーの要望
パイプセッティング時の、塩ビ管ソケットの破損事故を防ぐために、FRPで補強したい。ただし、ボーリングの穴径が小さいので、パイプ径が大きくなることは必要最小限に押さえたい
仕様と材料
ユーザーのテストを並行し、ビニルエステルFRP(#450ガラスマット1枚+#180ガラスクロステープ)でOKが出た。
樹脂選定の理由は、
硬化の仕方が、作業に適していること。
硬さや粘りのバランスが、良いこと。
コストが安く、作業し易いこと。の三点
(尚、ビニルエステルは、塩ビに接着しないので、弊社の塩ビ用接着プライマー“ファンデーション#UNO” を塗布してから、ライニングを行った。)

B燃焼廃ガススクラバー塔頂突込管の防蝕

ユーザー要望
150度Cの酸性廃ガスが入ってくる SUS316製スクラバーの塔頂部の突込管が、長年の使用による腐蝕で短くなり、ガスの流動形態に 問題が出かかっている。塔頂部を切断して、内部を改修するのは、工期的 コスト的に耐え難いので、何とか現状のままで、できるだけ安く腐蝕を阻止したい。

施工仕様と材料
SUS表面を ファンデーション#64で処理し、ビニルエステルFRPライニングを行い、厚いフラン樹脂(耐熱180度)FRPをSUS管に継ぎ足すような形で修復する方式を提案し、ライニングを行った。
この様な環境における 接着安定性のデータは どこにも無いので、SUSのボルトナットで締結して、万一の剥落を防ぐ処置を、行った。
フランFRPの高温時の強度保持特性、常温硬化性、コストの安さを利用した。
(ビニルエステルFRPは、フランとSUSの中間バインダーの役割)



C既設配管内面防蝕

ユーザーの要望
8インチ 1500Mの工場廃液配管(一部埋設)等の内面が錆びついているので、防蝕処置をしたい
工法と材料
スパイクピグによる除錆を行って、通気乾燥したあと、エポキシウレタン系防錆プライマー(ファンデーション#125)を塗布し、ビニルエステルフレークライニングを行った。



ピグ除錆では、若干の錆が残る事は避けられないので、プライマーはある程度錆に浸透する性質が必要であり、工程の関係上、硬化が早いことが望ましいが、ライニング作業の都合上、ポットライフ(可使時間)は、長くする必要がある
ライニングする時は、一度に2トンのライニング材を、パイプの中に投入するのであるが、この作業に30分〜1時間かかるので、ライニング材には、2トンのバルクで数時間のポットライフを持たせる事が不可欠である
よって、材料には、そういう性質をもたせた。

D多数の分岐を持つ1インチの屋内配管の内面ライニング材



材料物性のコンセプト
管径が小さい場合は、ピグを通すことができない。このケースでは、高速気流によるサンドブラスト式除錆と、同じく高速エアによるライニング材塗布が、唯一可能な工法であるため、ライニング材はその工法に合わせるしかない。 そこで・・
実験の結果、材料には、粘弾性チキソ性レベリング性消泡性等がバランスよく組み合わさっていることが必要、ということが解り、粘弾性条件を満たす唯一の樹脂として、エポキシ樹脂を選定した。
さらに、飲料水用であること、 工事の都合で、養生時間が不足した状態で通水することも ありうること、硬化剤の計量ミスもあり得ることを考慮し、そういったことで、トラブルが生じにくいように、配合比が多少くるっても、大きな性能低下が無く、飲料水試験に合格する、水中硬化型エポキシの配合を作った。
また、環境ホルモン説が出ていることに配慮して、ビスフェノールA型エポキシを避け、ビスフェノールF型を使用。

EMMA樹脂を塗布した食品工場の床の改修

ユーザーの要望
水を使うと滑るので、防滑性を強くしてほしい。
材料と工法 
稼動している食品工場の中では、施工中に悪臭を発生させないという条件が、最優先され、それを満たすのは、実質的に無溶剤エポキシか、無溶剤ウレタンに限定される。既存MMAとの接着試験の後、エポキシ・ポリアミド硬化型のプライマーとし、耐水、耐久性を持たせるべく、シラン処理したアルミナを、防滑材として散布し、変性MXDAポリアミン硬化物をトップコートとして塗布した。
(一部のみ、耐汚染性の確認実験のため、抗菌剤入りの超硬質ウレタンを、トップコートとして塗布した。)




←フランFRP→

←ノボラック型→
ビニルエステル
   FRP

←SUS管→

←ボルトナット→

←フランFRPライニングをした→
(SUS316製突込管)

←ノボラック型ビニルエステルフレークライニングを被せたSUS躯体→

(断面図)

耐蝕性、環境遮断性、接着安定性という基本的な要求項目をクリアーするだけなら、余程厳しい使用環境で無い限り、仕様は無数に作れます
その中でどれが最適かを判断するのが防蝕設計ですが、そのためには基本項目以外の個別の様々な事柄も勘案する必要があります。


F中東の原油タンク底板FRP防蝕

客先指定仕様・・・サンドブラスト後、エポキシプライマーを塗布し、エポキシFRPで仕上る。
(世界的な標準スペック)

 実際の施工仕様
しかし!  現地の施工時期の気温、工程を考えると、指定のエポキシプライマーを使うと、FRPとの間で層間剥離を起こす危険性が高い(実験では100%剥がれる)と考えられたので、渋る客先と元請を説得し、プライマーを指定外のものに変更した。    
 (現地でのテストでも、指定プライマーでは層間剥離することが、確認された。)
  その他は、仕様通りで、問題なく施工完了。( LLprimer 参照)

G電子機器メーカーの廃酸ピットの修理

廃酸ピットの、ビニルエステルFRPライニングが、数箇所、20cm角程度破損し、その修理を依頼された。
槽には、常時低濃度の廃酸が流れ込み続け、操業の都合で、止めることはできない、という現場状況であった。
 工法と材料
準備を整えて待機し、タンクローリーを横付けして、人が歩ける程度まで、水位を下げたら、直ちに入槽し、ローリーが満タンになるまでの、30分の間に、施工を終わらせる、という施工計画を立てた。
この施工条件では、施工後すぐ、あるいは施工中に、水没することになるので、防蝕材は水中接着性と、廃酸の中でもほとんどダメージを受けずに、普通に 硬化反応が進む、という性質を持ってないと、必ずトラブルになる。(母材と同じビニルエステルは、無論のこと、ほとんどすべての防蝕材は、適用できない。)
そのような性質を持たせた樹脂パテ(弊社メンテナンス#600パテ)で、修理を成功させた。

カギになる情報を見落として苦労した例

Hマーガリン工場の油脂ストック室の床ライニング

加熱保温した油脂タンクや配管が、ギッシリ並び、常時ドアを締め切っているストック室の温度は、40度C以上、20年間掃除もしていない(下がコンピューター室であり、上で水を流すと漏水するので、やりたくてもできなかったとか)床は、こぼれた油で真っ黒に汚れて、悪臭が充満していた。
(後で分かったことであるが)、修理をしたくて、いろんな業者を呼んだが、誰も見積りを持ってこないので、ズルズルと20年経ってしまった、というトンデモナイ代物。(水で洗浄することができない、ということも、受注後に分かったこと)
『しかたない、下地処理は全部乾式でやろう。』ということで、配管にジャマされながら、バキュームクリーナー付電動工具で、削り始めてビックリ。汚れたコンクリート床と思ったのは、厚く積もって酸化して固まった、油脂だった!
再び方針変更し、電動ハンマーでそれを除去する作業を進めるうち、下から出てきたのはコンクリートではなく、白いツルツルのタイル。それも一割くらいはすでに剥がれている。『アリャリャ〜』
タンクを支えるため、床には縦横にH鋼が渡してあり、それと床は密着していたり、隙間が空いていたり、いろいろ。
床を洗えるようにするためには、水がその間を自由に流れるよう、たくさんの水抜きを作らねばならないことが、判明。タンクの下の空間は、30cmくらいしかあいてなく、ただでさえ狭いのに、そのうちの一基の下は、ガッチリとコンクリートを流し込んで、固めてあるため、H鋼の一部を切り取って、これをハツリ取らねば、作業できないことも判明。アリャリャのリャ〜
かくして連日、ゴキブリも気絶するほどの、サウナのような開かずの間で、悪臭のキツイ汚れた油の上を、工具を抱えて腹ばいになり、ネッコロがり、防蝕屋か土木屋かゴミ収集業者か、レンジャー部隊の訓練か、分からぬような作業を続けながら、一方で、接着プライマーの試作とテスト、(酸化した油で汚れたタイルとコンクリートにキチンと接着し、40度以上の部屋で使いやすい無溶剤、無臭の材料というテーマ)を行い、H鋼下に水抜きとして埋め込むための、FRP製水路を成型した。
  材料仕様
上記エポキシ系プライマーを塗布した後、直ちにエポキシFRPを一層ライニングし、硬化したのち、白のエポキシトップコートで仕上げた。原料油脂のある所で作業するため、材料は全て無溶剤、無臭で、40度Cで30分以上のポットライフを持つ物で、耐油性のある配合にした。
無事完了!
見違えるような、明るい清潔なタンク室になったが、作業員は数日放心状態・・・・・・・・

情報集めを他人任せにして、設計を失敗した例

I化学メーカーのコンクリート製廃酸ピット

別の業者によって、すでにFRPライニングで防蝕してあるが、知らぬ間に水位が下がるので、どうも漏れているらしい。中を点検して、悪い部分を、修理してほしい、との要望。
濃度不明だが、トルエンも混ざるという話だったので、念のため耐溶剤性がよい、ノボラック型ビニルエステルを用意、万が一に備え、全面を2層ライニングできる程の、過剰な量を、用意した。
6月の梅雨時であったが、
防水シートを被せれば、雨でも作業はできる。現状を見たけど、そんなに痛んではいないようだ。
という元請の言葉を、気楽に信用したのがケチのつきはじめ・・・・・・・・・・・・・

現実の施工

槽には上部から多数の配管が配してあり、防水シートを被せることは不可能
気を取り直し・・・
下地処理をしようと、通常の廃酸ピットのつもりでフタを開けると、ムッとするトルエンの臭気、何か訳の分らぬものが厚くベタ〜とくっついている。
「何じゃ〜コレは。」
これでは、検査も研削もできない。
急キョ、200Km離れた弊社まで、高圧洗浄機を取りにUターン!
90度C、200Kg/cm2の熱水洗浄で、ベタベタを落として内部点検してるうちに・・
〔気分は、限りなく黒に近いブルーに変化〕
部分修理で、どうにかなるような状態じゃない!」
一部、劣化したライニングを除去したら、土が出てきた。
(コンクリート槽は、どこに消えた?) そこから地下水が、にじみ出てきている。 バルブがキチンと閉まらないので、あちこちの配管から、水が滴下している。
工期はあと一日半足らず。 どうやって直すか?
これだけ下地が痛んでいると、上にライニングしても、接着安定性は保てない。だから、内部にもう一つ、FRPタンクを成型するような方式(ルースライニング)にするしか手はない。・・・しかし・・材料がまるで足りない。・・・水も止めないと・・。
で、再び高速道路をUターン
少し足りないが、在庫の材料をかき集め、止水材も乗せて
次の日の朝に現場着!
6月なのに、真冬用の樹脂配合にして、硬化を早め、食事も抜きの突貫工事。
(操業に支障が出るので、死んでも工期は守らなくてはいけない! それが、工場メンテナンスの鉄の掟。)
やっと終らせて、残ったものは疲労と赤字だけ。ア〜ア

初めから分ってたら他にもっといい方法があったのに・・
こんな苦労しなかったのに・・
違う見積り出したのに・・・と、悔やんでも後のマツリ

周辺情報の収集が不完全だと、
こんな設計ミスがおこります。・・反省!

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8インチランチャーのセッティング

ライニングの状態

圧搾空気を多数の小口径配管に送り込む、分岐ヘッダー。 高速気流に研磨剤を乗せて、除錆する。

小径管はピグが使えないので、無溶剤エポキシ塗料を、吹き伸ばしてライニングする。(弊社塗料SSJ100を使用)

接着プライマーを塗布したら直ちに防滑材(アルミナ粒)を散布する