止水法

コールドジョイント部であれ、セパレータ部であれ、入り口側から止める場合は、塗料を塗布するだけでも、簡単に止まります。
普通のエポキシパテやシーリング材、樹脂注入など、何でも使えます。
だから、誰も困らないと思いますので、その説明は、省きます。


(出口側)






止水で一番厄介なのは、
今、出ている水を出口側から止める”という作業です。
どんな方法や材料があるのか、その説明です。



@キーワードは、ラピットパンチ

ラピットパンチというのは、ボクシングで相手の後頭部を狙って打つパンチのことです。 (どういう風に狙うかは知りません。)   反則だそうです。
しかし、止水では、反則ではありません。
出口側からゴリゴリと、ドリルで貫通穴を空け、そこに注入パイプを突っ込んで裏側(入り口側)に止水剤を大量に圧入する方法です。土木屋さんの十八番です。

何を注入するか?・・・それが問題ですが、いろいろあります。
要は、水と混ざって、流動性を阻害・・・いや、”固まる ことが大切です。
固まり方は、問わず! ということで、粘土の一種のベントナイトやセメントミルク(の薄いやつ)や、止水ウレタン(水と自由に混ざり、その一部と反応して寒天みたいに固まるもの・・・第一工業製薬(株)のオーハーグラウト等)等が、使われます。”安い”ということが、土木屋さんが使うための必須条件なので、ありとあらゆるものが試されており、他にもたくさんあります。
止水剤は、注入口周辺で固まったり、クラックや水みちに 水と一緒に浸入したりして、通水路をふさぎます。ベントナイトなどは、泥を穴に詰めるという感じの止水です。

現実に、入り口側が泥水の場合は、いつの間にか、何もしなくても、自然に止まることがあります。また、清水でも、コンクリート中の水酸化カルシウムが溶けて、炭酸カルシウムに変わって沈殿し・・・(この辺はあてずっぽうの推論です・・スミマセン。)とにかく、何かが起こって、何かが詰まって、水が止まることがあります。
(土木屋さん、建築屋さん、コンクリート屋さん、・・・いろいろ聞いてみましたが、周囲にメカニズムを知っている人は、いませんでした。本も見たけど、買った本には載っていない・・・知っている方、教えてください。)

何にせよ、確実性の点で、ラピットパンチ法は、止水の王道です。
 

●ラピットパンチ法変種

パイプを突っ込み、注入するんじゃなくて、水を吸い出します。そうして、地下水の圧力を下げて漏水を仮止めし、水が止まっている間にソレッと急いで止水を終わらせる・・・
というやり方もあります。
さて、このようなラピットパンチが使えない状況も当然あるわけで、その時は、出口側から、水が出ている状況のまま、止水を行わなければなりません。そこで、・・・



Aキーワードは点と線

面から、ザルのようにジャジャもれ状態になっているのを止めるのはむずかしいので、せめて、(状)にして止める。できればにして止める・・・という”仕事の方向性”をキーワードにしました。 

では先ず、どうすればどうなる、ということからスタートしましょう。

 問:水が出ているところに止水剤を塗るとどうなるか?

答:原則、止まりません。

止水剤というのは、どんなものであれ、固まって通水路をふさぐことによって止水します。
塗って、それが固まるまでに、水が止水剤を突き抜けて出てくれば、水みちができるので止水は失敗です。
突き抜けるまでに固まれば止まります。
結局、どちらが早いかという勝負です・


だから、厚くかぶせて、時間を稼ぐというのが、一つの手です。(図1)


     (図1)               (図2)         (図3)


(図2)は、板状または、シート状のものをかぶせて、横方向の距離で、その時間を稼ぐやり方。(板と止水剤が完全に接着するというのが条件)

(図3)のように、Vカットして、止水剤で埋め戻すと、厚塗りと同じ効果がでます。
(図1)より余分な手間はかかりますが、仕上がりはスマートです。


[材料]

@一般的なものは、“急結セメント”であり、その中でも一番一般的なものは“水ガラス系急結セメント”です。
練って、すぐ急いで図3のように止めたい箇所に押し込んで、手で強く押さえつけながらじっと固まるまで待つ・・・というワンパターンで使います。
押さえつけることで、水が外に出にくくなりますので、時間が稼げます

この材料を、もう少し、詳しく説明します。
水ガラスというのは、普通のソーダガラスより、ナトリウムを極端に多くしたガラスであり、こうすると水に溶け易くなります。(日本ではある程度水を加え、水飴状にした状態で販売されています。)これを適当に水で薄めて、普通のポルトランドセメントを練ると、急速に硬化します。
・・・その現象を利用するものです。

ご注意!
・強アルカリなので、手が荒れます。
・目はアルカリに弱いので、目に入らないようにしましょう。
・水ガラスは水に溶けるので、このタイプの急結セメントは耐水性は、普通のセメントより劣ります。(止水部から、漏れ出すんじゃないか・・・という心配まではしなくていいと思います。)だから、大量に使って、水中にそのままさらしておくと、長い期間をかけて、少しずつ劣化する・・・という未来像はイメージしておくべきです。

買い方
普通の建材屋さんで水に薄めたものを“急結剤”という名前で売っています。
化学薬品店で買うなら、“水ガラス”あるいは“ケイ酸ソーダ”という名前に変わります。
(もちろん原液です。・・・コスト的には、当然安くなります。ケイ酸カリでも、同じ結果になりますが、価格は割高)


[材料の改良]
急結セメントと下地コンクリートとの接合は、コールドジョイントになるので、密着性には、多少問題があります。
そこで、アクリルエマルジョン、あるいは、SBRエマルジョン、エポキシエマルジョン等、ポリマーセメントに使うポリマーエマルジョンを併用(一緒に混ぜ込むという意味です。)すると、、この点が、多少改良されます。市販の急結剤なら、これを加えたものもたくさん出回っているはずです。(白く濁っていればおそらく、このタイプです。)

[材料2]
湿潤面接着剤、あるいは水中接着剤型のエポキシ樹脂パテを使っても止水できます。


 ←【漏水がひどいコンクリート水槽】


 劣化して内部がスカスカになった
  廃液槽から、地下水が染み出して
  くる。

 ●中の水位が高いときは、外に
   向かって廃液が出て行く。






  先ず、湿潤面用エポキシプライマ
  ー(弊社 ファンデーション#346W)  を、十分しみ込ませる。









  湿潤面用エポキシパテをコテで
  塗りつけて平らにし、この上から
  水中硬化型エポキシFRPでライニ
  ングする。








  ライニングが硬化するまでに、
  たくさんの箇所から地下水が
  膜を突き破って出てくる。
   樹脂がキチンと固まるまでその
  ままにして、その後一つ一つつぶして
  止めていく。
   茶色っぽい箇所が漏水点をつぶ
  したあと。




コールドジョイント等で、水が線状に出ているものは、線に沿ってVカットした後、これで埋め戻します。硬化速度が急結セメントより遅いので、当然固まるまでに どこかに水みちができ、水が漏れてきます。
それで、いいのです。樹脂パテが、きちんと固まるまで待ちましょう。
たとえ、線状に漏れていたところでも、この作業によって、漏れは一ヶ所、二ヶ所と数えられるような点状になるはずです。
その”点”に、ドリルで深めに穴をあけ、再度止水を行うのです。
(このやり方は、急結セメントでやる場合も同じです。エポキシの良い点は、接着力が良いので、埋め戻した止水剤がドリルの振動で 浮く、といった不測の事故が起こりにくいということです。)
この””の、最終的な止水は、いろいろなやり方が考えられます。
専門の防水屋さんもいろいろマル秘テクニックを工夫しているようですが、専業の方に仕事のノウハウを聞くのは、あまりに失礼というもので、我々も聞いたことはありません。(多分、聞かれても困るでしょう。 こういうものは横目で盗むのがマナーです。)
以下は、我々の自己流の工夫です。参考になるなら、してください。


ドリルで穴を空けたところ

  ここから、スタート



A法
 急結セメントを押し込んで、固まるまで強く押さえておく





B法(栓)
 木栓を作って、打ち込む。ゴム栓でも可。
(竹は導管を通って水が出てくるので、不可。)





ゴタゴタが、起こらないうちに、
 速硬性エポキシで塞ぐ






       C法
←接着剤
軽くまわしながら、押し込む。
(アルミパイプ)


アルミパイプを差し込んで接着する。








@栓(消しゴムなど)を押し込む。








Aあるいは先をペンチでつぶす。








こちらも、ゴタゴタが起こらないうちに、
速硬性エポキシで塞ぐ。









注意点!
 水みちの位置を読み間違えると
 脇から、漏水することがあります。





D法(圧入法・治具が必要です。

 キャップを接着する。
(歯磨きチューブの出口部をイメージしてください)




低粘度の止水剤(エポキシ・ウレタン等)
 を、圧入する。







圧入したら、すぐ、キャップをする。







止水剤が硬化したら、キャップ部をはつり取る








もしくは、そのままエポキシ樹脂で、
埋め殺しにする。








こんなに、いろいろ書いたのは、それだけ苦労や失敗がたくさんあったということです。
今でも、どんなものでも、100%絶対止められるか?と、問われたら。
それ程の、自信はありませんと、答えるしかありません。

これらは、その程度のものであることを、前提にお試しください。






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(入り口側)

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