コンクリート中で、鉄筋はどんな腐蝕の仕方をするのか

(注2)

キーワード  鉄の腐蝕の仕方は、PHに応じて変わります。


右図は、鋼の腐蝕速度とPHの関係を表した有名なグラフです。(防蝕の本から勝手に引用)
領域@
まず、PH1〜4あたりの強酸領域では、水素イオン濃度に比例した速度でアノード反応(鉄が鉄イオンになって溶け出す反応
・・・この領域では2H+ + Fe → H2 + Fe++)
がおこって、鉄が溶けます。
要するに、酸の濃度に比例した速さで溶けるということです。
(この領域は本題とは、関係ありません。
本題はここからです。)

PH

4

9

@

A

B






領域A
PH4あたりから9あたりにかけては、酸素濃度に比例して、カソード反応*が起こり、これに引っ張られて電気回路で繋がった(≒近接した)アノード部で、鉄が溶出します。
どういうことかというと、腐蝕のイニシアチブをカソードが握っており、そのカソード反応のツケアノード部が払うという形で腐蝕が進行するということです。
(経済活動のイニシアチブを握っているロクデナシ共のやりたい放題を、税金や預金金利で穴埋めさせられているジャパン国民・・・という図式と同じです。 ついでながら、腐蝕理論では、払う方がスッテンテンになればカソード反応は自動停止しますので、それ以上悪くはなりませんが・・ ⇒何か防蝕対策を講じないとスッテンテンになるまで穴埋めさせられますよ。


《4〜9でグラフが平坦になっているのは、この実験が酸素の濃度と拡散速度が一定の大気中で行われているためです。
ちなみにPH4〜7のカソード反応は 4H+ +O2+ 4e-  →2H2O
PH7〜9は、O2 + 2H2O + 4e- → 4(OH)- であり、
これによってアノードで、Fe - 2e- →Fe++ となって鉄が溶けるんだそうです。
無論、こんな式おぼえても、あまり実務の役には立ちません。》

領域B
PH9近辺から上は、腐蝕が急停止します。
これは、鉄が不動能化するからだそうです。(て、いうより、そういう状態に不動能という言葉をつけただけでしょうけど・・・)
新しいコンクリートのPHは10より上、つまりバリバリの領域Bですから、(水や酸素が入ってきても)腐蝕しません。

以上が(防蝕の本に書いてある)鋼材の腐蝕とPH値の関係です。

と、自分で紹介しておいて言うのもナンですが
こういう机上の理論は、鵜呑みにしないほうが良いと思います。

   机上の実験と現実の違いを、認識する必要があります。 

たとえば、この実験の鉄は文字通り鉄ですが現実の鉄筋黒皮(ミルスケール・・・FeO、Fe3O4、Fe2O3の3層構造になった酸化鉄膜)がついたまま使われます。
この黒皮の自然電位は例えば、海水中で約-0.3V(鋼材は-0.6V)だそうですから、銅に匹敵する程の異種金属と密着しているようなもので、当然この部分で電池が形成されます。鋼材にかかる応力や周囲の酸素濃度や温度等も場所場所でバラツき、それによって自然電位も変わります
また、ステンレス表面の耐蝕膜が、塩素等の特定物質で破壊されるのと同じく、、鋼材表面の不動態状態もそういった物質で破壊されますので、海水の浸透があったり、含塩骨材を使用したりすれば、不動態状態の臨界点はもっと高いPHの方に移動します。

       つまり、そういう要因が有れば、PH10以上でも腐蝕します

       (PH10以上=不動態 と丸暗記するのは禁物です。)
また、この実験は、水中で行われています。それ故、酸素濃度の増減で反応速度が変わる(酸素濃度律速といいます)んですが、酸素が多くて水分が少ない環境になれば、当然水分濃度律速に変わります。

そういう、いろんな意味を込めて、重ねて、鵜呑みにしないようご注意申し上げます・・が、そういうことがあるにしても、これはコンクリート中の鉄筋の腐蝕を考える上では、基本になるグラフですから、(留保条項を含めて)理解しておく値打ちはあると思います。

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