鉄筋の電気防蝕の原理と問題点

(注3)

(注2)のPH4〜9の領域の腐蝕反応に、もう少し説明を加えます。


アノード

カソード

A

C

↓↓

(図1)

水等の電解質に接触した鉄(或いは、他の金属)には、自然電位と称される電圧が発生します。その大きさは、金属の成分、残留応力の大小、接触する物質の種類、温度、濃度等によって変化しますが、微視的には、水に濡れた金属の小さな部分部分は、それらが微妙に異なっており、
そういった不均一は、自然電位の不均一を生みます
すると、その部分間に電位差に応じた電流が流れます。
図1の青線は電子の流れ、赤線はマイナスイオンの流れです。マイナスイオンの流れ込む部分でアノード反応つまり酸化反応が起こります。(そこをアノード部と名づけ電子が流れ込む部分をカソード部と名づけるわけです。・・・
初めからアノード、カソードという部位があるわけではありません。結果として出来た、無数のアノード部、カソード部がランダムに分布しているのが鉄の表面です。)

C

A

P

図2

さて、そこでPという電源を、このマイナスイオンの流れの場にセットし、電線をつないで、ここからAやそれにつながったCに強制的に電子を送り込んでやります。
すると、AもCもまとめて、カソードにされ、マイナスイオンはPに向かって流れます。
結果として酸化はP表面で起こり、AでもCでも、起こらないわけです。

このやり方を、電気防蝕、あるいはそのまま英語で
カソーディックプロテクションといいます。
(なお、これは鉄筋の防蝕法であって、コンクリートの防蝕法ではありませんその点を、勘違いなさらないよう、ご注意ください)

電気防蝕には外部電源と電極を用いる強制排流というやり方と、イオン化傾向の高い金属(防蝕業界では、自然電位の低い金属と表現します。)
を、つないで電池の原理で電気を流す方式の二通りのやり方があります。

コンクリートの場合、後者が一般的です。

例えば、亜鉛*を熱で融かしてコンクリートに吹きつけて固着させると(図3)の構造ができあがります。
(*近年は亜鉛とアルミの合金を使うのが、一般的です。このほうが、電流が安定するらしいです。)
アノードの身代わりになって亜鉛が溶け続ける形になるため、これに犠牲陽極、あるいは流電陽極という名前が付けられています。

以上が電気防蝕という手法の概略です。








鉄筋

(図3)

point!

電気防蝕が有効に働くためには、犠牲陽極と鉄筋が水を介して電気的に(ある程度均一に)つながっている必要があります。
しかし現実のコンクリートには、空洞やジャンカやクラックや成分の不均一など、
様々な(電気的)イレギュラー要因があり、(注2)で説明した鉄筋の黒皮もマイナスの電防として働きますので、電防の効き方は、場所ごとにバラつきます
だから、(注2)の不動態理論と同じで、単純化したモデルの理論を過信して、”電防すれば鉄筋は絶対錆びない”などと、思い込んではいけません。

だから、20年、30年先のことを考えるなら、あぶなっかしい腐蝕理論で、綱渡りするよりは、被覆防蝕をしておきなさい。・・・というのが弊社のお勧めです。
缶詰の原理でコンクリートを密封して、腐蝕性物質を遮断してしまえば、何も起こりようがありません。
電防と違って、コンクリートの劣化そのものも阻止できます
(ついでにコンクリートのアルカリ骨材反応も防止出来ます)

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