着色は環境と品質管理に影響を及ぼします

ライニング材は、着色顔料を加えることで着色します。

顔料の多くは金属化合物ですが、その中には『クロム(緑)』、『鉛(赤)』、等重金属の入ったものもあります。(カドミウム(赤)は、さすがに今は禁止になっていて使われませんが、昔は使われていました。)
着色顔料の添加には、“防蝕性能上の”メリットはありません。   
(だから弊社では、必要が無いなら使わない。使うなら、出来る限り 酸化チタン(白)、酸化鉄(黒・弁柄色・黄土色)等安全が確実視されている物に限定する。」という方針にしています。客の意向もある事ですから、自由にはなりませんが・・)
綺麗な色の床材や塗料も、いずれ剥がれてゴミになり、埋め立て、焼却、不法投棄や不法埋め立てされてしまいます。
   合法であろうと不法であろうと、やっていることは似たようなもんです。
それが何時の日か 何処かの広い範囲の災いの種になるかもしれません。 
ばら撒いた人間にとっての災いなら 自業自得というものですが・・

 ・・実例を一つだけ・・
アジアの(軍事基地に使われていた)某所の環境調査をやっていた友人から、港のヘドロの分析結果に関して、問い合わせがありました。 
近辺に存在しない重金属イオンがいろいろ出ており、発生源として船舶塗料を疑っている。 ついては、そういう重金属が、本当に船の塗料に使われているのか、教えてほしいというのです。
FAXで送られてきたデータを見れば、一目瞭然。「スズ」「水銀」「鉛」「カドミウム」
「クロム」・・・アンチファウリング剤、防錆顔料、着色顔料として使われているもの、使われていたものばかりです。
 それにしても・・チリも積もれば、山となる
人間は大抵、「自分の寿命やサイズや生活や価値観(つまり自分自身)をモノサシにして世界を見る、」というクセをもっていますので、それを越えるレンジの動きは見えません。
そして、自分の生活に関係ない(と思っている)事柄には、興味を持たないし、そういう物は目の前にあっても見えないのが普通ですから、微生物や、野の植物や動物等の世界で起こっていることは、見えないし、目の前の腐蝕の進行にも、気付かないのが普通です。
(鉄やコンクリートの腐蝕を、リアルタイムでじっと観察出来る程、辛抱強い野次馬は、多分、何処にも居ないでしょう。)
しかし、人が気づこうと気づくまいと、微細な変化は、着々と累積されてゆきます。 ヒマラヤ山脈のかなりの部分も、チリが積もった結果です。
石炭も石油も石灰岩の山も、鉄鉱石も、大気中の酸素もそうですから、“積もるのが悪い”と言うつもりは毛頭ありませんが、“大量に積もると、どこかの時点で何かが大きく変ります”。
突然ビルが崩れたり、橋が曲がったり、車輪が外れたり、翼がもげたり、背骨が曲がった鯖や異臭がするボラが獲れたり・・といった具合に。
   ・・それもまた自然である・・と悟るのも一つの考え方でしょうが・・

色についてもう一つ
   原発関連等、品質管理に厳しい発注者は ”上塗りも無着色” 指定してきます。
着色すると塗膜の内部状態が見えなくなりキチンとした作業や検査が、できなくなるからです。(塗膜欠陥、検査、修理 参照) 
  (無着色ライニングには 誤魔化しが効きません。) だから・・
 防蝕性能だけに限れば、ライニングには色を着けないのが技術上の原則です

ところが、塗料メーカーが販売しているFRPライニング材(と称している)ものは、例外なく、着色してあります。 (おまけに無溶剤と表示しながら溶剤を入れたりしています。)
これでは誰がやったってまともなライニングは出来ません
最近、そういう材料を使ったエポキシFRPライニングをやっている現場を、偶然、みたことがあります。 
見た目だけは随分キレイな仕上がりですが、
接着テストを終え、床に転がされた接着ピースに付着したFRP片は、遠目にも明らかな含浸不良です。 
ライニング本体は、チョットさわっただけで あちこち浮いているのが分かる程 酷い状態だったのですが、施工者はどうも気付かない様子です。
ところが 検査官らしき人物も全く気がつかなかったらしく、そのままメデタク合格していました。  
         厚化粧に隠されて、素顔が見えなかったようです。

              別の実例をお見せします

下の写真は、私たちが修理を頼まれたコンクリート水槽から剥してきた破片です


着色樹脂で施工されたFRPライニングを剥した破片です。  左が裏側で右が

下地処理をせずに施工してあったので、この様にきれいに相間剥離しました。
           無数の気泡と含浸不良が混在しています。
         (光にかざすと点々と穴が開いているのが見えます。)
 (どんなに厚くしても、この様な被覆の環境遮断性能は、実質的にゼロです。)
樹脂に色が着いていなければこんな欠陥は、全部、表面から観察出来るので、ここまで酷いライニングにはなりません。(・・とおもわれますが、それもこれも、施工者にそういう意識があってこその話です。)


トップページへ戻る