解答
複雑で多様な現象や世の中を○×でバッサリ決めつけることなど、できる訳がありません・・正解は無し!・・コホン・・とお利口さんな答が、一応
建前上の正解です。 ・・が・・お利口に
程遠い出題者は
”全部キッパリ バツじゃ、×××じゃー” といきまいております・・
以下が、その言い分です。
@防蝕ライニングが長持ちするかどうかは、膜材料の良し悪しで決まる
A膜材料の性能の良し悪しとは、耐蝕性の良し悪しのことである
B防蝕ライニングの寿命とは、膜材料が劣化するまでの時間のことである
お勉強(1)に書いたように、防蝕ライニングが健全に機能し続けるためには、少なくとも
耐蝕性、環境遮断性、接着安定性の三つの要素が揃って必要であり、そのどれにも弱点をもたないということが絶対不可欠です。(耐久性はまた、
施工の完全性や、
膜の均一性、
下地の性質、状態等の要素によっても左右されます。
その他、
防蝕ライニングがダメになる
原因は様々であり、機構も複雑かつ様々です。
つまり
そういった耐久性をもたらす不可欠な要因を全て揃え、かつ、破損をもたらす要因を全部除去出来てはじめて、ライニングは長持ちします。
(要するに、被覆防蝕の耐久性は、多数の要素が互に影響を与え合って成立する複雑系の産物です。)
だから、
その多数の要因の中から、特定の項目、例えば膜材料の劣化や、特定の状況における環境遮断性の良否等だけを取り出して、単純なロジックや数式で全体性能を論ずる事は出来ません。(ナンセンスの極みです。)
Cピンホールがない防蝕膜を覆せれば腐蝕は完全に止まるも、同じ意味で間違いです。 その意味で
ピンホールがなければライニングは半永久的に持つ・・というのも、誤りです。
腐食性物質が防蝕膜を透過するルートは、大抵の場合ピンホールではありません。
(
水蒸気拡散 高温の水溶液が入るタンクの防蝕 参照)
防蝕膜の材質に何のダメージがなくても、ピンホールがなくても、下地の腐蝕や、ライニングの構造劣化は、起こります。
D腐蝕の激しい所は、防蝕も難かしい
腐蝕というのは、材料と環境の相互作用で生じます。
それは、“環境の攻撃”という視点で見ることもできます。
さて、
被覆防蝕の耐久性とは、
お勉強(1)の図で示した、(下地と防蝕被覆が一体となった)
“複合構造” の耐久性のことです。
被覆する前は、
下地が、環境の攻撃を受けるわけですが、被覆後は、
この“構造”が、環境の攻撃を受けます。
攻撃される側が全く別のものに変わるわけですから、相互作用(攻撃のされ方)も、全く別種のものになります。
だから、
下地に対する攻撃が激しかったからといって、
膜構造に対する攻撃が激しいとは限りませんし、逆に、下地への攻撃が緩やかだったからといって、膜構造に対する攻撃まで緩やかだとも限りません。
実例で、説明します。
例えば、塩化鉄(Fecl2、Fecl3)水溶液は、鉄でも、ステンレスでも、すぐボロボロにしてしまうやっかいな液体です。
しかし、樹脂に対するアタックは、全くありませんし、膜構造に対するアタックも普通の水と同じです。
だから、その辺にある、適当な塗料を塗るだけで、簡単に防蝕できます。
つまり、腐蝕が激しいからといって、防蝕が難しいわけではないのです。
一方、スチーム。
鉄やコンクリートに対する腐蝕性は、どれほどのものでもありません。
しかし、・・・熱衝撃と
水蒸気拡散によるダメージで普通の樹脂ライニングは、すぐに剥がれや、ブリスターを生じます。
つまり、腐蝕が緩やかだからといって、防蝕が容易というものではないのです。
(スチーム対策と比べれば塩酸や硫酸に対する防蝕は、
お遊びみたいなものです。)
E防蝕仕様は、上級 中級 低級という具合に性能でランク付けできる
被覆防蝕には、材料、膜構造、施工法が異なる
無数のバリエーションがあり、それらの差異によって環境遮断性、耐蝕スペクトル、耐摩耗性、柔軟性、衝撃吸収性、表面強度、熱膨張率、単位重量、帯電防止性、熱伝導率、湿潤面接着性、高温施工性、保存安定性、低温施工性、劣化のパターン等々が異なったものになります。
つまり、異なる仕様は
それぞれ異なる個性を持っています。
一方、現実の個々の設備の方も、使用目的、材質、大きさ、形状、状態、施工条件、使用環境が様々であり、ライニング仕様に要求される諸々の事柄は、ケースバイケースで変ります。
(目的は防蝕だけですか?参照)
良い結果を望むなら、そういった対象施設の個別の事情とライニング仕様の(上記のような
様々な)個性を
適合させる必要があります。(
お勉強2)
・・・でないと、トラブルが起り易くなります。
例えば耐酸煉瓦ライニングがいくら頑丈だといっても、劣化が進んだコンクリート槽の天井に適用すれば、剥落の危険性を増やすだけです。頑丈にはなりません。
(
長所短所の分別は本質的にその場限りのものですから、状況が変れば、分別の視点も変ります。)
状況設定抜きで仕様の優劣を言うのは、例えばライオンと白熊と猟師と人食い鮫とシャチとアメリカ大統領と武蔵丸とペスト菌の強さを無条件で
ランク付けるようなものです。
土俵の上なのか、太平洋の水の中なのか、北極の氷の上なのか、何を比較するか、何を物指しにするのか・・・そういった現場の個別の具体的な条件をあてはめて比較すれば、別の条件で作った番付け表など、その場で消し飛んでしまいます。
(
仕様と特性 SOTECの防蝕設計 寿命予測は信用できるか? 設計、施工例 参照)
F接着強度の大きいライニング膜は、長期的に剥がれにくい
厳密にと言うか、正しくと言うか、真の意味でと言うか、そういう意味の
接着強度というものは、
測定する手段がありません。
我々が通常“
接着強度”と
呼び慣わしているのは、決められた一定の様式で、その接着を壊すのに要する力・・・つまり、
破壊に対する応力のことです。
(私達はそれを
耐破壊力と表現しています。)
そして・・
(普通の意味で)接着強度が大きいライニングは、
その測定方式と同じ物理的力に対しては、剥がれにくいといえますが、
異質の力に対してはどうなるか分りません。
(
壊れ難い接着物の作り方 参照)
そして、
いつまでも その状態が続くという保証は・・ありません。
将来のある時点でライニングが剥れるかどうかは、現時点の接着強度がどのくらいあるかという事よりも、
今後どんな接着劣化要因がライニングにかかるのかと、
それに対して接着構造がどんな挙動をするのかによって左右されます。
(
剥れと界面応力 水と接着 防蝕ライニングの接着技法 接着とは何か 参照)
経験から言えば、
ライニングの初期接着強度の大小と、それが長期的に剥がれないでいられるかどうかということに、さほどの相関関係はありません。(
お勉強1では、だから接着強度という言葉を避けて、接着安定性という言葉にしています。)
(弊社、
ペネトシールライニングの資料を参考にしてください・・
接着安定性を最大にするために 接着強度をゼロにした仕様です・・)
G防蝕屋に防蝕を頼むのは、設備建設が終わってからで良い
防蝕ライニングには、適した缶体デザインや適さないデザインというものがあります。
施工環境も、コストや信頼性を大きく左右します。
だから、そういった事柄に配慮すれば、安く性能が良い防蝕措置が出来ます。
設計屋や建築屋の方たちは防蝕は素人ですから、そういった細かい事は知りません。だから、そういうふうにしたければ、設計時点で
防蝕屋に相談するしかありません。
例えば埋設配管等は、
作ってからでは表面処理もライニングも非常に難かしいのが普通です。
だから、いざ防蝕を何処かに依頼しようとしても
「誰もも出来ない。」というケースすらあります。 (そういう物は、例え出来ても、とんでもないコストがかかります。)
そんな物でも、埋設する前に、各短管を、熔接部から少し離した部分まで仕上ておき、熔接が終る毎にそこをタッチアップする、という手段をとれば、桁違いにコストが下がる事があります。
一般的に言って、人が容易に入れる場所は、
例えプラント設計がお粗末でも、大抵
リカバリー出来ますが、そうでない場所は
リカバリーが困難です。
大抵の施主は、
「設計会社はプロなんだから、そんな事は、全部百も承知している筈だ。」と思い込んでいるようですが、経験を踏まえ、遠慮なく言えば、
一般的な、プラントメーカーやゼネコンや設計事務所が、防蝕施工に関して、そのレベルの知見や対応能力を持っている事は、
先ず有りません。
彼らが
無能というつもりはありません。そういう施工に関する情報が彼らにとってもブラックボックスであるため、知識不足、情報不足でどうにもならない、というだけの事です。
塗料メーカーの人や腐蝕防蝕を専門に学んだ人にとっても、(極論すれば、ソレを教えている学者や、もっと、極論すれば、防蝕会社にとってすら)「
施工の専門知識や情報が
閉ざされている」状況は
同じです。だからプラント設計者は、そういう情報が要るなら、沢山の防蝕会社や
施工現場から個別に断片をコツコツと収集して蓄積するしか手はありません。
楽して、いい設計は出来ません。
H〜P
キーワードは “経験”
経験によってしか学べないものが,世の中にはたくさんあります。
一見簡単にみえる(らしい)防蝕ライニングも、例外ではありません。 その視点で見れば、これら全てに疑問符が付くのは自明でしょう。
H多少値段は高くなるが、キチンとした防蝕を望むなら大手ゼネコンに頼むのが良い
ゼネコンというのは・・・
工事の各パートを、それぞれを得意とする(安く応札した)下請けに振り分け、現場管理をする会社です。
最近の現状はゼネラルコントラクターというよりはむしろ、ゼネラルコーディネーターというべきでしょう。・・・ゼネコ−です・・(“ゼネ公”という人もいます。私じゃないです。)
つまり、彼らは自分で手を動かすわけでは無く、
他人にやらせるプロです。
あれこれ指図されなければ、何もやらず、
目を離すと何するかわからないような会社に仕事を頼むなら、信用あるゼネコンを介してやらせるほうが無難でしょう。
ただし・・ゼネコンというのは、
玉石混交の業者を
沢山知っている可能性はありますが、防蝕の具体的な知識は、素人に毛が生えた程度以上のものではありません。 それらをふまえ、そのコストとメリットとデメリットを考えるのは、発注者の自己責任です。
I役所は民間よりキチンとした仕様を作り、技術水準が高いやり方をする。
役所を無条件で信用する皆様へに、まとめました。
(
ライニングの寿命予測は信用できるか? 参照)
J材料メーカー、商社、元請、下請の組織がしっかりしている所に頼めば安心だ
三社経由すれば、通常は値段が倍になります。
そしてもし、何かトラブルが発生したら、
責任のなすりあいになるのが普通です。
関係者が増えると責任者が消える、という法則もあります。
(何処にじゃ)
安心かどうかは、結局、組織がどうのこうのという問題ではなく、
信用出来る人かどうかというだけのことでしょう。・・とおもいますけど・・
K大きな会社は、小さな会社より技術が優れている
零細企業の当事者としては、コメントできません。
(大企業の社員は小企業の社員より優秀だ・・というバリエーションもあります。
国家公務員は地方公・・や民間人より・・東京の技術は田舎のそれより・・欧米は日本より・・日本は韓国より・・男は女より・・)
・・証拠無用の紋切り型認識は何処にでもゴロゴロと・・疲れるー
L材料のことは材料メーカーが一番良く知っている
たまねぎ作っている人が、たまねぎ料理やたまねぎの成分について、特別詳しいわけではありません。
ピアニストがピアノを作れるわけではありませんし、ピアノメーカーの人が演奏出来るわけでもありません。
材料加工のことは、加工屋が詳しく、材料合成法に関しては材料メーカーが詳しい。
防蝕に関連する材料性能や使い方は防蝕屋が詳しい・・・ただ、それだけのことです。
M施工会社は当然、自社ライニングの修理ができる
新設技術と、修理技術は、必ずしも同じではありません。
修理の方が、状況が複雑ですから、殆んどの場合、修理ができるなら、新設はできますが、逆は必ずしも成り立ちません。
極端な例ですが、グラスライニングの修理が出来るグラスライニング業者は居ません。
N防蝕の専門書で勉強すれば、防蝕できるようになる
机の勉強だけで運転免許とった人は、まだいないそうです。
本の知識詰め込んだだけで通用する程甘い職業は、多分何処にも有りません。
実務の積み重ねのみが、チャンとした職業人を作る トおもいます。
上級公務員とかの枕詞を付けた“お勉強の試験”で一足飛びの幹部を選び続け、世界三流の名に恥じぬ愚行を 繰り返すN国の害務省その他大勢の行政組織(の幹部)が、その逆の証明・・・とおもいます。
O施工の良し悪しは、施工の経験がなくてもわかる
P自分で施工できなくても、他人にキチンとした施工をやらせる事ができる
個人的には、そんな考え方は
“チョー甘い” と思っております。
(
恐るべし、プロの技 参照)
Q100m2、100円のライニングは、10m2なら10円だ
建設物価表には、防水や防蝕の平米単価が載っています。
ゼネコンも役所も、最近は一般会社までも、
それを基準に安いだの、高いだのと言 います。 しかしアレはそんなに信用できるシロモノでしょうか?
施工コストは 材料費と加工費に分けられます。
材料費は、
面積×1平米当りの使用量×材料単価です。
だから一応
、平米単価と言う考え方が成立します。
(*しかしそれでも、材料使用量は下地状態で変ります。 その為、下地が荒れているこ とが多いメンテナンス工事では 大きく増えるのが普通です。)
一方、加工費は
面積×施工能率×人件費です。
この施工能率は
面積の大小や
形状の複雑さ、その他諸々の要素によって
激変します。
例えば、下表は、我々が地下受水槽にエポキシFRPをライニングする時の、
面積と平米単価の関係を表すグラフです。
↑平米単価 平米数→
面積が増えると施工能率が良くなるので、このようになります。
(ただし、これも、
面積以外の施工条件が同一 という前提にたった参考グラフです。
その他の条件を加えるとグラフは
もっと大きく変化します。)
人件費が高い日本では、この様に
加工費の変動が平米単価を大変化させます。
建設物価表の平米単価は、こういう
変動要因を”強引に””全部一定である”と仮定した、ムチャクチャ乱暴狼藉な概算価格です。
当然ながら、そんなものは
現実のコストの実態とは
全然合いません。
実際のコストはだれがやっても上記のグラフのようになる筈です。
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