保証逃れのあの手この手



発注する側の人たちが、皆、仕事の質を判断できなければ、問題のあるやり方が横行するのは 自然の成行きです。

『保証書取れば(変な仕事は出来ない筈だから)安心だ!』・・とは 言っても・・
それ、役に立たない かも知れませんよ。

●その1『アア言えば コウ言う

保証書には、必ず“施工者の責に依らざる原因で破損したものは 保証の対象に非ず”の一言が入ります。
そこで、質問です。
ライニングが壊れたとき、誰の責任か 本当に分りますか? もし、業者が”これはあなた方が、〜をやったことが原因です!”と、強弁したら、きちんと反論できますか?
あなたが、声の大きいコワモテタイプで業者が気の小さい善良な人間なら、(たとえ、あなたが悪くても)言い分は通るでしょう が、逆だったら、結果も逆になります。
ましてや相手はその仕事の玄人、あなたは素人です。 あなたの知らない専門用語など並べて、まくしたてられたら、多分あなたに勝ち目はありません。
例えば、我々が改修を頼まれた ある床のライニング・・・
下地処理を手抜きした結果であるのは 歴然でしたが、元請けのゼネコンは、
『うちが入ると(値段が)高くなるから、業者と直接 話をしてくれても いいですよ。』
と、恩着せがましく 逃げてしまい、業者は業者で、
『設計時には、ここは水は流さないと聞いていた。それで、そのように作った。しかるに今見たら 水を流してるじゃないですか。これはそれが原因です。 我々に落ち度はありません。』
と、突っぱねたそうです。(ちなみに水を流して剥れるようなのは、標準語では“汚れ”と言い、ライニングとは言いません。)
その他、台車の材質が悪い、重すぎる。スチーム洗浄をやった。悪質な洗剤で洗った。等、何のカンのと、難癖をつけて逃る手口は、あちこちで 聞きました。
どうですか? あなたは捕える自信が ありますか?
そんな悪質な業者が 長く生き残れるハズは 無い!と、思うのも甘いです。
今の日本、裏金や買収は、役人や政治家だけの話ではありません。
発注企業の担当者、ゼネコンの設計担当、コンサルタント等、中間に存在するあらゆる人間にその可能性はあります。(会社の上役や担当者にだってありえますよ。)
(もちろん、人間始めからそんな目で見るのは間違ってると思いますが始めから100%信用してしまうのは“危機管理上の弱点になる”と思います


●その2『1回だけ

1回だけ無料補修で、それ以降は実費を頂きます
という手もあります。早めにチョコチョコっと部分修理し、あとを“それ以降”にしてしまう手口です。そんな項目が入ってないか 良く見ておきましょう。


●その3『タマネギの皮

すぐ壊れるような仕事をする業者は、大抵 修理もデタラメです。
また、すぐ壊れます
またまた修理、またまたこわれ・・・と、その度に工場を止め、担当者を休日出勤させ、・・・そっちのコストの方がかさんで 発注者側が音を上げ、自費で他の業者に修理を頼む というパターン。

      改修は、新設の何倍もコストがかかります。 

新設時の見積差額など、一回の修理で消し飛びますから、 高いか安いかの見極めは“慎重”にやらないと“後で”ツケが回ってきます。


●その4『諸般の事情により、施工(させること)不能

不飽和ポリエステル、MMA、溶剤含有材料等は、悪臭を発生させます。ホコリや騒音を発生させる施工法もあります。
それらが、客側に重大な被害を及ぼす場合は実質的に施工不能になります。
『悪臭や音が出ますので我慢して下さい。』『やりますから、その間この漏水を止めてください。』『工期を10日下さい。』とか、客が受け容れられないような施工条件を持ち出されると、保証で悩むのは、業者でなく、いつの間にか客側になっています。


●その5『決まりごと

『〜工業会の申し合わせで保証は一年以上やっちゃいけない決まりになっているんで、一年しかできません。ナニ、心配いりませんよ。どこか悪ければ必ず一年以内に壊れます。一年持てば五年持ちます。ライニングというのは、そういうもんです。』
というセリフで、一年逃げきり。


とまあ、いろんなやり方が横行していますので、実際に保証をさせるというのは大変なんです。そんな目に遭わないためには、まず何よりも発注者が、物の良し悪しを見分ける、そこそこの知識を持たねばなりません。
このホームページは、その視点で発注者のためにも、必要な情報を公開する。・・・
という目的も持っています。そして、提案します。
本当に、保証させたいのなら例えば
“3年間、一切の条件抜きで、その期間無制限に無料で何回でも修理する。
破損の理由は問わない。”
というくらいのキビシイ保証書を取るべきです。
そうすれば、まともな業者が、(多少)住みやすい世の中になります。

・・・しかし、それでも


●その6『ウルトラD

昔、サウジアラビアのある会社に出向して、地元の業者の防蝕ライニングを検査していたことがあります。(当然、保証書は、取っていました。)
その業者は、
『アラムコ(世界最大の石油採掘、輸出会社。当初アメリカ国籍、現在サウジ国籍)の原油タンクの内面ライニングは、全部自分たちがやっている。』
と、技術力をアピールしていました。
ある時、上司に呼ばれて行くと、アラムコの施設担当者であるアメリカンが、来ていました。
で、よもやま話で、今私が担当している業者の話をしたら、怪訝そうな顔。
○○社?そんな名前聞いたことないぞ。』
『だって、アラムコのタンク全部俺たちがやってると自慢してたよ。』
『知らん、そんな会社。』
『社長は、あんたの国のアルカポネみたいな目つきの悪い、XXという名前のハゲ頭の大男で、スタッフは##・・・』
『なんだー、知ってる!、知ってる!その連中なら知ってる。
たしかに、うちのタンクやってるよ。△△っていう名前の会社だ。』
『エッ!どういう意味だ?ソレ。』

すると、、笑いをかみ殺しながら、話してくれました。

『あの連中、しょっちゅう社名変えてるんだ・・で、何かトラブルがあって・・
訪ねて行くとだな・・・看板が替わってて・・
“一体何の話だ??ここは□□社だ。 よその会社のことは 俺たちには関係ない”
 って、言うんだ・・・
事務所も同じ、机も同じ、人間も全員同じ、そっくりそのまま同じなんだけどな。
・・ア・もしかしたら、今日の夕方にでも別会社になってるかも知れんぞ!
そんなんだから100年でも、1000年でも・・・”OK OK! No Problem!”
って、平気で保証するよ、ヤツラは。
あとは、パタパタパタ、ピューと、飛んで逃げていってそれで終わりだ!
あいつらを捕まえることなんか不可能だ!』

両手を肩のところでバタバタさせ、鳥の鳴き声まで真似て天井を指差す大熱演で我々を笑い転げさせ、極めつけの保証逃れ法を教えてくれました。


【どんなに制度や組織を変えても、人が変らなければ何も変らぬ。】

 とは西郷さんのお言葉。   そうだとすると
人が変らぬ状況で、紙切れ1枚で“何か”を変化させるのは至難でしょう。



トップページへ戻る