作業に適した接着剤のタイプはどれか

         接着剤の性状には幾つかの“型”があります。
被着体の形状、作業法、接着目的等々の差異によって、その“型”の適否がありますから、好ましい結果を得るには、先ず、その選定が重要です。

まず、【1】コンタクト型接着と、【2】隙間充填型接着の違いを理解してください。

代表例で説明します。


【1】コンタクト型接着
代表例・・・ゴムのり
キーワード溶剤・薄塗り・オープンタイム

このタイプの接着剤は、流動性の無い樹脂に溶剤を加えて低粘度にしてあります。

@これを、被着体表面に薄く塗り、溶剤が蒸発するまで待ちます。
 (厚く塗ると、表面だけ乾いて、内部に溶剤が残り、接着を阻害します。厚みが必要なら、  時間を空けて、薄く、何回もぬります。)
 (貼り合わせずに待っている時間を、オープンタイムといいます。)

Aすると、ネバツキが強くなってきます。
タックが強くなる、と表現します。)

Bここで、両者を(位置決めして、)空気が入らないように貼り合わせます。
(作業完了)

貼り合わせた瞬間に両者はガッチリと固定されてしまいますので、
(これを、コンタクト接着といいます。)
              位置の修正はできません

なお、オープンタイムを長く取りすぎると、今度は逆にタックが無くなっていきます
つまり、適した接合のタイミング、あるいは、接合可能な時間の幅というものがあります。



【2】隙間充填型接着
代表例・・・エポキシ接着剤
キーワード無溶剤・隙間充填・養生時間

@主剤と硬化剤を混ぜてから、接着部に(余るくらい)充分な量を塗布し、

Aすぐ両者を接合し、動かないように固定して固まるまで待ちます
         (はみだした、余分な接着剤は、ウエス等で拭き取ります。)
     (固まるまでの時間を養生時間あるいは、硬化時間といいます。)

前者のゴムのりと比較すると、両者の違いが明確になります。

貼り合わせて合わせてすぐに強度が出る
コンタクト型
隙間充填型
×
貼り合わせてから位置を変えられる
コンタクト型
×
隙間充填型
被着体間の空隙をピッタリ埋めることができる
コンタクト型
×
隙間充填型
オープンタイム
コンタクト型
必要
隙間充填型
不要

接着剤を選ぶときは、まず被着体の構造を勘案して、作業方法を検討し、このどちらのタイプでなければならないのか、あるいはどちらでもいいのか、を判断してください。

例えば、巻き癖のついたシートを平面に貼り付けるとき、コンタクト性は大きな利点です。
(例えば、ゴムライニングは、シート状のゴムを缶体の形状に合わせて貼り付けて行います が、この作業は、コンタクト型接着剤でないとお手上げです。)



一方、ソケットにパイプを差し込んで接着する場合、
コンタクト型では、(両者が接触した瞬間に固定されてしまいますから、)差し込む作業は不可能です。
だから、たとえ、隙間が無くても“位置を変えられる”という性質を有する隙間充填型が適します。



  つまり、隙間がある組み合わせを一体化させる場合は、隙間充填型を使います。



【追加】・・(隙間充填型の)擬似コンタクト性

隙間充填型は硬化するまでは、被着体を固定する力はありません。
が、全くゼロというわけではありません

例えば、建物の壁にタイルを貼る接着剤は隙間充填型です。
(だから、貼って自由に位置を変えられます。)
しかし、タイルは落ちてきません。

あのコンタクト性は、フィラー(充填材)を大量に混ぜ込んだことによる増粘効果によってもたらされたものです。

どんな隙間充填型でも、そういう風に配合すれば、その程度の多少の荷重は支えることができます。
水に小麦粉を足しながら、練っていく過程の粘性の変化を思い浮かべていただければ、理解しやすいと思います。
(そういう方法によって、隙間充填型接着剤の性情は、固くも柔らかくも、液状にもなります。 混ぜ物リスト参照  配合の工夫によって、コンタクト型並のタック性をもたせる事も可能です。


その他のタイプ

【ホットメルト型】

接着剤は、どんなものであれ液状→固体という変化が不可欠です。
液状時に被着体表面に濡れ広がり、その後固化して強度がでます。

ホットメルト型というのは、加熱すると液化し、冷えると固化する接着剤です。
雑誌・ダンボールや紙おむつ等、いろいろな工業製品の大量高速生産に適しています。


【粘着型】

高粘度液状のまま使うタイプです。
液体ですから、原則として応力を支え続ける用途の構造部材には適しません。
ただし、粘着した後、硬化反応が進行する“粘着剤もどき”の変種があります。
こういうタイプは、大きな応力を支え続ける事が出来ます。
 (ちなみに、隙間充填型は、硬化の過程で、大抵、粘着型の状態を経由します。)

【瞬間接着剤】

瞬間接着という言葉には、いろいろな異なる概念が混在しています。

○コンタクト接着
・・・これは、文字通り瞬間です。(ただし、準備作業に時間がかかります。)
粘着テープの瞬間性も、同質のものです。

○いわゆる瞬間接着剤の“瞬間”
・・・これは、硬化反応が極度に早い。という意味です。
(このような意味の瞬間接着は、原理的には、エポキシでも、ウレタンでも、他の熱硬化性樹脂でも、できます。一般的には、αシアノアクリレート系の物を指します。周囲の水を触媒に使って、イオン重合で固まる樹脂です。)

○ホットメルト接着
・・・これは加熱して融かした接着剤を手早く塗りつけ、冷えてかたまったら出来上がり、という接着方式です。そういうタイプの接着剤をホットメルト接着剤といいます。
(再加熱すれば、元に戻ります。)

○加熱速硬化型接着剤
・・・常温では硬化せず、ある温度以上になると急激に硬化するように反応特性をもった接着剤です。
この変形として、温度の代わりに電子線・UV等、特定のエネルギーを使って硬化を早めるやり方もあります。


瞬間接着剤には、このようにいろいろな様式がありますので、その原理と特性を理解したうえで、作業にあったものを選んでください。
(こういった予備知識をもとに、細目はメーカーの技術屋さんに聞くのがよいと思います。)





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