アンカー形成
アンカー効果 (“絡み合い”効果)
断面形状が左図の様な凸凹になった下地に樹脂を
塗れば、
素材的に両者が接着するしないに
関わらず、剥がれることはありません。
これが、アンカー効果です。
(こういうやり方はテフロンコーティングなどに応用
されています。)

それでは、左図ならどうでしょう。
これも、絶大な効果があります。
接着したものを
剥がすのに要する力は、
力をかけ
る方向によって大差があり、
テンシルよりシア*の
方向の方がはるかに大きいので、図のような表面
形状は、単なる平面より格段に剥れにくくなります。
(
壊れにくい接着物の作り方:参照)
*テンシルや
シアというのは、力を加える
方向の相対的位置関係のことです。(下図)
テンシル シア(せん断)

テンシルになるのかシアになるのかはっきりしない、 左図のような表面形状の場合は、その中間的効果 が出ます。
(もちろん、この断面形状で
“横向きの力”が加わる 場合は、絶大な
“絡み合い効果”が生じます。)
こういう
断面形状や大きさ等のことを(漠然と)指し
てアンカーパタンと言います。
アンカー効果はアンカーパタンの差異によって変わ
る・・・というのが(漠然とした)結論です。
(どんな形状のアンカーであれ、“
接着表面積を増やす”という効果が付随しますので、それによっても、接着力は増大しますが、
アンカー効果という概念は、そういうことを指しているのではありません。)
アンカーには、下地処理をするしないに関らず出来てしまうものもあります。
コンクリートや木材のように、もともとポーラスな(穴だらけの)材料に、樹脂を塗れば、しみ込んで、アンカー効果が発生します。
そういうものを便宜的に
ミクロアンカーと呼んで、前者(マクロアンカー)と区別することにします。(もちろん両者間に本質的違いがあるわけでもなく、世間でそういう言葉が使われているわけでもありません。
このホームページだけのとりあえずの用語です。)
コンクリートの表面を凸凹にはつって、そこにライニング材を流した場合を例にとって、ミクロとマクロの概念の違いを説明します。

1、この接着は⇒のマクロアンカーと、
→のミクロアンカーの複合効果が働きます。
それによって、このライニング材を剥がそうと
すれば、
応力はコンクリート内部にまで分散
されていきます。よって、無理に剥がせば、
コンクリートが深くえぐられる形で破断します。
ミクロアンカーはマクロアンカーを補強する
働きをします。

2、次に、表面を平らに削って、同じことを
した場合。
ミクロアンカーによる接着となります。
接着力は、その深さの分のコンクリートと、
それにつながった表面近辺のエリア(表層)
で、支えることになります。

3、次に、
あまり流動性の無いパテ状の
接着剤
*を塗った場合。
ミクロアンカーも効きませんので、接着力も
接着界面にかかるストレスも全て、
文字通りの
“
表面”だけで支えることになります。
*(
実際はパテ状の接着剤といえども、多少
のアンカー効果は生じます。)

4、金属の場合はマクロアンカーだけです。
一般的にはサンドブラストで
錆落しをした
結果に付随して、アンカーができるという
形になります。
深いアンカーパターンは、
樹脂ライニングの
場合は、接着強化になるので好ましいので
すが、(膜厚の薄い
)塗装の場合は被覆不良
を生じることがあります。(左図参照)

4号〜5号の細かい硅砂を使えば浅いアンカ
ーになり、
スチールグリットのような重く、
角ばったブラスト材を使えば、深いアンカー
パターンが作れます。
球状のスチールショットのブラスト面では、
アンカー効果はさほどありません。
(左図:スチールショットのブラスト面)
〔番外〕
ブラストによらないアンカー形成の仕方

●金属溶射やセラミック溶射等の”
溶射”は、通常、
微細な穴が無数にできますので、それを、アンカ
ーとして利用することができます。
溶射を防蝕膜として使うときは、その穴が“
欠陥”
になりますので樹脂等を
詰め込みますが、その場
合は“
封孔処理”という言い方をします
右半分は
タングステン溶射(バインダーはニッケル)
新潟メタリコン梶iTel 025-273-2411)
作成のサンプル

●接着剤やコーティング材を
塗布した直後に、
砂を散布して付着させれば、アンカーが形成
されます。
砂以外にも、いろいろなものが使えます。
これらの方法の特徴は、
アンカー部の材質を
自由に選べるという点です。
(それがどういう意味を持つか?・・
それは使う人 のアイデア次第です。)