ケレンの対象となるもの

〔番外〕  表面?にあるもの

【1】エポキシ塗装をしてあった”かん水タンク”の内面がボロボロに錆びていたので、エポキシFRPライニングにやり替えようということになりました。
 
中をきれいに水洗いしたのち、サンドブラストで塗装も錆も全部落として、防錆プライマーで一次防錆をしました。
 
数日後、そこに錆汁が流れていました。
 
気になったので、真っ白になるまで再ブラストしてもらい、そこをなめてみてビックリ
 
塩辛い!
 
鉄は塩を含むことができるのか?
 
水拭きしてもう一度なめてみました。
 
やっぱり、塩辛い。??

【2】長年使用した大豆の蒸煮タンク
 
『製品中の鉄イオンの量が規制値を超えるので、全面樹脂ライニングしたい。』
という要望があり、耐熱型のエポキシの焼付けライニングをすることになりました。
 
洗剤で油を落としてから、真っ白になるまでサンドブラストして、ライニングして焼き付けると、片っ端から剥がれていきます。
 
全部剥がしてから、洗剤を加えた水を入れ、三日間90℃に保ち、ゆっくり攪拌。
そのあと、水を抜いて再ブラストして、再ライニング⇒また剥がれる。
 
そのとき、タンクをトーチを焼いてみたら、タンクの鋼材から大量の油が滲み出してきました。
 
結局、鉄に油がしみ込んでいたのが剥がれの原因でした。
 
その当時は、油面接着技術を持っていなかったので、あの手この手の悪戦苦闘も空しく、結局お手上げになりました。
最近行った、古い 大豆の蒸煮圧
力釜底板へのSUS316シートライニ
グ実験施工

やはり、長年の使用で、缶体には油がしみこんでおり、加熱すると滲み出してくる。
 
油面接着型の接着材なら接着できます。
【3】建設後、20年を経た原油タンクの底板に、針の先程の穴が空いているのが見つかりました。
 
超音波膜厚計を使って、周辺の肉厚をチェックした結果、孔の周囲の外面がひどく腐蝕しているらしいということが判明。
 
30cm角を切りとり、腐蝕面をキレイにサンドブラストして、サンプルとして持ち帰りました。
 
真っ白になるまでブラストしたそのサンプルは、一時間程でみるみる真っ黒に錆が戻ってきました
経験的に、錆び方がひどい鋼板は、ブラストしても戻りが早いとは感じていたものの、これほど度外れたスピードには、目がテンになりました。
これがもし大面積であったら、「ブラストの後を錆が追っかけてゆく」という展開になります。
 
腐蝕は、、表面の物性変化(あるいは状態変化)、をもたらすことがあるようです。
 
 
【1】や【2】における塩や油の隠れ場所は、多分金属の結晶粒界でしょう。
(それ以外は、ちょっと考えられません。)
 
そうなると、表面処理の“表面”には、“深さ”という概念が入り、それはもう、言語としては表面とは言えませんし、錆の戻りなどは ケレンの対象になるすら無いのかもしれません。
 
もし『表面をSa3にサンドブラストせよ。』と指定された現場でこういう事態に出くわしたら・・
【3】の場合には、
「一体どうすりゃいいんだ?」ということになり、
【1】や【2】の場合は、
本当にそれだけでいいのか?」という事になります。
 
こういう場合は、(設計が想定している現場状況現実のそれが異なっているのですから、)マニュアルから離れて、臨機応変の対応策を考え出すしか手はありません。
(現実に合わせて設計し直すという事です。)
 
 
〔閑話休題〕
 
ケレンという実務の周辺には、あるいは、たぶん他のたいていのことにも、こういうマニュアル化できないファジーな事柄があります。
メンテナンス工事は、特にそういう予想外の事が起きやすい仕事です。
 
そういう事態が生じたとき、規格や仕様の一字一句をあたかも神が定めた“掟”ででもあるかのように、絶対的に守ろうとすると、現実問題として、手の打ちようがなくなったり、守ることによってトラブルを引き起こす事があります
 
最終的に、何を目的として、何をやっているのかを見失わないためには、マニュアルや規格の類は丸暗記せずに、一字一句まで、誰がなぜそう決めたのかをきっちり理解すべきです。
(もっとも、理解出来た時点で、マニュアルなんか無用になるでしょうけど・・・)
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