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インスペクターとスタンダードスペック

〔インスペクター〕

仕様書に検査項目と合否判定基準を細部まで明示し、専門の検査員(インスペクター)がそれに基づいて検査、検収する・・・というのが、今の世界標準です。
検査員がOKを出した項目でトラブルが発生した場合、責任は検査員にあり、施工業者は責任を持ちません。
欧米には検査の専門家を集めた検査専門会社がたくさんあります。
この仕組みが機能するためには、施工者、発注者の間でどういう結果を目指すか、それをどういう手段で達成するか、ということに関し、明確な合意が必要であり、仕様書は、その合意文書という性格を持ちます。
だから、仕様書には、上記のように検査項目や判定基準、材料の他に、トラブルの解決の仕方等、あらゆることを事細かに定める必要があります。そして、役割と範囲を明確に決めて、仕事を進めるわけです。いってみれば、仕様書が法律、インスペクターが検事兼、裁判官、施工業者が被告兼、弁護士という形になります。
(だから、インスペクション(検査)には、厳密な判定の責任が課せられ、OKを出した項目でトラブルが起こっても、施工業者に責任を転嫁できないのです。)
 
言うまでも無く、これは欧米の文化を背景に成立している制度です。
それが、世界標準化しているんですが、曖昧にナァナァでやる方が好きな日本人にはチョットなじみにくいかもしれません。
だから、形を真似しても実際はナァナァでやっています。
 

〔スタンダードスペック〕

さて、こういう制度の合意文書であり、法律である、仕様書の責任と役割は重大です
当然、何かやるたびに、こんな種類の仕様書を作るのは、誰にとっても大変です。
それで、塗装や下地処理や溶接や材料等、ほとんどのケースで共通するような仕事や物については、あらかじめ標準仕様というものを作っておき、皆がそれを引用するという形で仕様書作りを手抜きするシステムが確立されました。
それが、MIL(米軍仕様)とか、BS(英国規格)とか、SSPC(鋼構造物塗装協会規格・・・米国)といったスタンダードスペックです。
 
例えば、下地処理をああやってこうやってと細かく書かなくても、SSPC-SP3でやると一言書けば、全てが明確に規定されたことになります。(その文章をここに移す。・・・といっているのと同じです。そしてそこには、細かく全てが書いてあります。)
そうなると、仕様には、個別の事だけ書けばいいので、非常に楽になります。
つまり、スタンダードスペックというのは、国家規模というより、今やそれを越えてインターナショナル規模で行われる、壮大な、“仕様作りの手抜きシステム”の道具です。
 
(日本の色々な役所や役所もどきが作っている“○○規格”というのは、仲間内だけで通用する通行手形という趣が強く、こういうスタンダードスペックとは“似て非なるもの”です。
“似てすらいない”かもしれません。 よそで引用される可能性ゼロです。 例えばA官庁の規格を使うのは、その許認可や発注の支配を受ける、Aの取り巻き業者だけであり、(恐らく、)権限や面子や利害が絡むので、例え、全く同じ用途であっても、B官庁が使う事は、先ず、あり得ません。)(何れにしても、大抵、内容がお粗末なので、民間の防蝕設計で使う事は、先ず、あり得ません。 得意げに使っているお粗末な防蝕業者もあるようですが・・)
 
 
 
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