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防水設計

コンクリート防水設計

(仕様選定の考え方)

   【屋根は、何処からどんな理由で漏水するのか?どうすれば止まるのか?
漏れ方は決まっていますが、止め方は色々あります。
   ・・・何処から漏水するのか?   部分施工の仕方   全面施工の二つの方法・・参照

【では、止め方はどんな考え方で選べば良いのか?】

【仕様選定の論理】 

安い仕様選んだら、何か良からぬ事が起らないだろうか?・・何となく心配だ。
高い仕様なら何となく安心だ。一番高いヤツをくれ!!
イヤ、ヤッパ予算が千円だから980円でやろう!・・えーっと・・在った!980円仕様・・土石山防水KK?・・所在地田舎・・ダメダ!こんな会社。・・他 は と・・ ロイヤルピエールグッチザフェイマスKK・988円・・本社丸の内!オオーッカタログも立派!これだ!
なに?極道商会が賄賂もってきた?・・決定!!・・てなことやってませんか?
   そういう設計技法の家元はこちらのお方。 無断で真似ると告訴するそうです・・

問題点を整理しましょう。
防水機能を持っていない防水仕様はありません。
だから仕様を比較検討するなら、防水機能以外の何かです
 

「防水機能以外の何か」とは何か?

先ずそれに関する予備知識をストックして下さい。(そうでないと説明不能です。)
 
予備知識1・・●耐久性
 
【どうやれば寿命が長くなるのか?】
 
耐久設計の基本は“弱点を作らないこと”です。
現場の状況をいろんな視点で多面的に捉え、それをもとにあらゆる仕様の、耐久性に関する弱点を探します。」そして「気になる“問題点”があったら、直すか、或いは別の仕様を選ぶ」ということです。
 
 
(何故、長所でなく弱点なのか?)・・・・・言わんとしている事が分りますでしょうか。・・・毎日無農薬野菜を食べ、早寝早起きで、ウォーキングを欠かさず、泥酔運転するのが趣味、という人を長生きさせるのに、ヨーグルトを食わすのと、酒やバイクを取り上げるのと、どちらがより効果的か?・・・そういう問題です。
 
但しこの場合、弱点というのは、必ずしも固定的なものでは無く、同じ要素が状況次第で、長所にもなる、という点に強く留意して下さい
具体例で説明します。
●屋上や風呂場をFRPで防水する仕様があります。
通常は#450のガラスマットを1枚使い、これに不飽和ポリエステルを含浸させてFRP膜にすると、施工面全体に1mmくらいの厚さのシームレスのの膜が全面接着されます。
さて別に、ガラスマットを2枚使うという仕様があります。価格は当然割高です。寿命は延びるのか?・・では5枚使ったら・・実は寿命が延びる要素はありません。遮断機能としては屋上屋を重ねるだけであり、むしろ厚くする事によって接着面に掛かるストレスが増す為、剥れ易くなる傾向すらでてきます。では全く無駄で、マイナスか?・・難しい問題ですが、剥れる事を前提とするなら補強が必要であり、その場合単独でも破れにくい3枚以上の方がベターです。(但し5枚以上は単なるムダです。)
●シート防水の改修で、シートを除去しないで、その上にFRPを接着ライニングする場合は、(下地が容易に変形する状況なら)補強の意味で、2枚以上重ねる方が安全です。つまり、変形や剥れを想定するなら、防水膜が薄い事は破損の原因になります。
或いはもし、下地研削をしないでライニングするなら・・・(すぐ剥れて割れるため)1枚では防水の機能はすぐに消滅します。この場合も沢山貼れば、より安全です。(但し5枚以上はムダ)
●しかし、勿論、ゴチャゴチャとそんな事をするよりチャンと下地を研削して1枚キチンと貼る方が長持ちします
 
(防水や防蝕に限ったことではありませんが、)“ある事柄が”長所であるか短所であるかは、置かれた状況に適合しているかどうかという事と同義であり、適合したとき“長所”と称され、不都合になったとき“短所”と称されるだけの事です。
“仕様と状況が適合していない”とは、仕様の中に“その状況で”トラブルを起しそうな事柄(つまり“短所”)が含まれているという意味ですから、当然、トラブルの発生頻度を左右します。
言い換えれば・・寿命を左右するわけです。
そして寿命は、チャンと施工されているかどうか・・でも左右されます。
 (そしてまた、偶然の事故にも左右されます。)(
ソテックの防蝕設計 参照)
現場状況と防水仕様の適合関係は、体と病気と薬の適合関係に似ています。
症状に合った薬であるかどうか。
チャンと飲んでいるかどうか。
     事故に合わないかどうか。
 

予備知識2・・●修理、改修性
上記“弱点”にも色々なグレードがあります。
取り返しのつかない弱点なのか、リカバリー出来る弱点なのか・・前者であれば、トラブった時点で“終り”ですが、後者なら、“修理”で生き延びられます。
防水は永遠に持つわけではなく、何れ“痛み”ます。
 
   その、傷み方修理の仕方は「仕様によって異なります。
 
例えば脱気筒を設置したシート防水は、浮かし貼りといって、防水シートの下を空気が自由に移動して、脱気筒から抜ける構造になっています。
この構造によって、「コンクリートにクラックが発生しても、構造クラックがあっても、“防水膜はそれらによるダメージを受けない”」という長所が生まれます。
しかし、同時にまた、もし膜が破損して水が浸入したら、その水もまた防水膜の下を自由に移動出来るので、水は膜の下全面に拡がってしまうという欠点生みます。(だから、膜の下に漏水点が存在したら、それが何処であっても、漏水します。)だから、この仕様の場合、もし漏水したら、その漏水経路を推定する事は不可能です。
そしてシート貼りあわせ工法の最大の弱点は、貼りあわせ部がうまく接合しているのかどうか(非破壊では)確認方法が無いという事です。・・で・・その二つの事柄を合わせると・・何処かから漏水したとしても、防水膜のどの部分が壊れているのか、場所が探せないという事態になります。
つまり、この方式で防水したらクラック対策としては万全ですが、もし漏水したら、(破損箇所を探せないので)部分修理は出来ません
ということは・・・・この方式でやるなら、絶対壊れないように、万に一つもミスがないようにしないと修理不能になる。・・で・・二枚重ね仕様(!)で万全を期す、というのもあります。・・たしかに一理あるし、効果も有りそう・・・ですが・・
お勉強1で解説したように、元々こういう非接着工法は「カミさん効果」が働かないので、当然、そういう風に頑丈な膜にしないといけませんが、それはそれとして・・ゴミになった時は、量の多さで困る・・という問題もあります。
そういった事柄に関しては全面防水の二つの方法を参照して下さい。
だから、ともかく、修理改修性に関しては、接着工法が勝ります。
 

予備知識3・・表面機能その他諸々
車が通行する坂道なら滑り止め機能や耐摩耗性が必要です。
キャタピラの重機が通行するなら、もっとシビアな耐摩耗性が要ります。
お年寄りや幼児が転ぶかもしれないならクッション性がある方がベターです。
火の粉が飛んでくる場所なら耐火性、難燃性が必要です。
毎日水洗する食品工場等は、水溜りが出来ず、すぐ乾く平滑な表面が好まれます。
雨曝しで、人や車が行き交うなら、透水性がある方が快適です。
冷房エネルギー節約のため、屋根の昇温を抑えたいなら、光反射機能が有効です。
あるいは断熱機能も有効です。
デザイン上防水膜がむき出しではマズイなら、適当な被覆をする必要があります。
外部の音や振動を遮蔽したいなら、振動吸収機能や遮音機能が必要です。
緑化したいなら、土中劣化しない、植物の根が入らない多少厚い被覆が必要です。

・・・その他色々・・・・・・・・・・・・・・
 
     防水機能以外の“何か”とは概ね上記のような事柄です。
 
つまり、そういった事柄諸々を勘案して、仕様を作るべきでアル、という提案です。
(少なくとも注意は向けるべきです。それだけでも多少マシな設計になると思います。)
無理だ!そんな複雑なやり方は。・・・と思うのは錯覚です。
 実例を一つ示します。⇒
最もシンプルな塗布防水仕様
表面機能はどうするんだ?・・と心配する必要はありません。
必要なら、この上に付け加えればいいのです。
例えばノンスリップで耐磨耗性が必要ならレジンモルタル仕上げにし、光反射が必要なら、アルミフレーク入りトップコートで仕上げ、火の粉を防ぎたいなら、シリコン樹脂レジンモルタルを被せるかタイルライニングにするかあるいは他の方法にするか・・
クッション性が必要なら、ゴムチップ成型シートを貼ったり、弾性ウレタンを流したり・・
つまり必要な箇所に必要な機能を加えるだけですから、どうという事はありません。
どんな複雑な機能も、結局はこの土台の上に乗るだけです。
(勿論土台を弾性ウレタン防水にしたって、何の不都合もありません。)
蛇足ながら、全面同じにする必要もありません。

全面同じでない防水施工は先ず見かけませんが、全面同じでなければ「ならない」というのは単なる習慣的「思い込み」であり、技術的な必然性はありません。
(例えば、FRP防水と浮かし貼りシート防水を継ぎ合わせたって、なんの問題もありません。)

こういう方法なら、多様な機能を自由に選択出来ます。
 
株式会社ソテック 〒272-0004 千葉県市川市原木2165 TEL.047-328-6390 FAX.047-328-6392 1.防蝕ライニング設計、施工 2.防蝕ライニング材・接着剤・製造、販売
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