熱硬化性樹脂
熱可塑性樹脂 熱硬化性樹脂
粘土やパン生地は、力を加えて変形させられます。
鉄もプレス成型や絞り成型のように、大きな力を加えると、同様に変形させられます。
そういう風に、力を加えると、自由に形を変えられる性質を塑性といいます。
鉄もプレス成型や絞り成型のように、大きな力を加えると、同様に変形させられます。
そういう風に、力を加えると、自由に形を変えられる性質を塑性といいます。
熱可塑性とは、熱を加える事によって塑性になる、という意味であり、(言い方を替えれば、)熱で融けるという事です。
ところで、融けている状態というのは・・・・構成員である樹脂分子が互いに位置関係を変えまくっている状態・・の事です。
代表的熱可塑性樹脂である塩ビやポリエチレンは、分子量が数万程度の線状の分子が寄り集まった物ですから、温度が上ると、(=分子運動が激しくなると)(繋がっていない故に)集まりがばらけてくるわけです。
“熔ける”という現象を分子の動きで説明すれば、そうなります。
しかし、分子量が30万50万それ以上・・というレベルまで大きくなってくると、互いが絡まりあうため、熔けても簡単には流れなくなります。
そういうレベルのプラスチックは、物性が低分子量のものとは“全然”違うため、“超高分子量プラスチック”というカテゴリーに分類されますが、流動し難いといっても、大きな力をかければ流れますのでやはり熱可塑性樹脂です。
熱可塑性樹脂の成型物は、壊れたら熔かして元の原料樹脂に戻せます。
“熔ける”という現象を分子の動きで説明すれば、そうなります。
しかし、分子量が30万50万それ以上・・というレベルまで大きくなってくると、互いが絡まりあうため、熔けても簡単には流れなくなります。
そういうレベルのプラスチックは、物性が低分子量のものとは“全然”違うため、“超高分子量プラスチック”というカテゴリーに分類されますが、流動し難いといっても、大きな力をかければ流れますのでやはり熱可塑性樹脂です。
熱可塑性樹脂の成型物は、壊れたら熔かして元の原料樹脂に戻せます。
(だからリサイクル出来ます。 融着も出来ます。)
では、熱硬化性樹脂(サーモセッティングレジン)とはどういうものか(熱で硬化させる樹脂・・という説明を時々見かけますが、そうではアリマセン。)エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂・・等がその代表ですが、これらは縦横斜めにジャングルジムのように枝分かれして繋がるため、互いの位置関係が固定されてしまいます。
(そうなってしまえば、熱で熔ける事も、溶剤に溶けることも出来ません。)
(そうなってしまえば、熱で熔ける事も、溶剤に溶けることも出来ません。)
そういう結合の仕方を3次元架橋(重合)といいます。
三次元架橋した高分子は、高温にすれば分解するだけです。
三次元架橋した高分子は、高温にすれば分解するだけです。
熱硬化性樹脂は(例え高温でも)変形させれば、(塑性流動しないで)壊れます。
壊れたら元には戻せません。
(だからリサイクルは出来ません。 融着も出来ません。*注)
全ての樹脂は熱硬化性か熱可塑性かに分類されますが、要するに両者の違いは、3次元架橋か2次元架橋かの違いです。
(架橋ポリエチレンのように、加熱熔融成型した後で三次元架橋させる変則的な熱硬化方式もあります。 最初は熱可塑性で、最終的には熱硬化性という両性兼備の材料です。)
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、それぞれどうやって成型するのか・・
成型するためには自由に変形してくれる事が必要であり、自由に変形するという事は、
構成分子が自由に動ける(=液状)という事です。
・・・どうすればそういう状態が得られるか・・・
熱可塑性樹脂は、加熱してそういう状態にします。
(軟らかくなる温度を、熔融温度と言います。加工温度の目安です。)
・・・どうすればそういう状態が得られるか・・・
熱可塑性樹脂は、加熱してそういう状態にします。
(軟らかくなる温度を、熔融温度と言います。加工温度の目安です。)
熱硬化性樹脂は、最初は液状ですが、 硬化剤を加えて、時間が経過すれば3次元重合して固まりますので、液状である時間内に、加工します。
( その加工作業が出来る時間をポットライフと称します。加工時間の目安です)
液状といっても・・樹脂の種類によって水みたいなのから水飴みたいなのまでイロイロですが、それにタルク粉やシリカ粉やカーボン粉等を混ぜると、ウドン生地の様な性状にも化粧クリームの様な性状(パテ状)にもなります。
( その加工作業が出来る時間をポットライフと称します。加工時間の目安です)
液状といっても・・樹脂の種類によって水みたいなのから水飴みたいなのまでイロイロですが、それにタルク粉やシリカ粉やカーボン粉等を混ぜると、ウドン生地の様な性状にも化粧クリームの様な性状(パテ状)にもなります。
つまり、必要なら、そうやって好みの流動性に調整して使います。
(当然、そういった充填物の種類と添加量に応じて硬化物の物性も変ります。)
(通常は、その物性変化を積極的に利用するという考え方で充填材の選定をします。)
(充填材で最終物性を改良する・・という手法は、熱可塑性樹脂にも適用可能です。)
(当然、そういった充填物の種類と添加量に応じて硬化物の物性も変ります。)
(通常は、その物性変化を積極的に利用するという考え方で充填材の選定をします。)
(充填材で最終物性を改良する・・という手法は、熱可塑性樹脂にも適用可能です。)
*注・・例外的に・・三次元架橋しても、全体が一体化しないで、小さな無数のブロックの集合体になってしまう場合があります。 そんな状態の物は、個々のブロックは(結合してないので、)相互に位置関係を変える事が出来ますので、熱可塑樹脂として挙動します。
多くの熱硬化性樹脂は、硬化反応の途中でこういう状態を経ますが、ある種の材料(例えばDDM硬化のエポキシ樹脂等)は、常温では、そこで反応が止まってしまいます。(業界用語で、“Bステージ”と表現される状態です。)
こういう樹脂は、反応初期液状の状態で、普通の熱硬化性樹脂の加工法で、例えばカーボンファイバー等に含浸させて“Bステージ”の状態に一次加工しておき、それを塑性加工で最終製品の形状にして、加熱硬化で三次元架橋させる・・という加工方法が可能です。
ゴルフのカーボンシャフトや、釣竿のカーボンロッドはそういう方法で作られます。
この“Bステージ”のモノを“プリプレグ”と言い、それを供給するメーカーと、それを最終製品化するメーカーは、しばしば別です。 プラスチック類の加工は膨大な種類の職人芸と技術とノウハウが混在する世界ですが、この例のように、その加工法を根本的に制約するのが、この「熱可塑か?熱硬化か?」という要素です。
多くの熱硬化性樹脂は、硬化反応の途中でこういう状態を経ますが、ある種の材料(例えばDDM硬化のエポキシ樹脂等)は、常温では、そこで反応が止まってしまいます。(業界用語で、“Bステージ”と表現される状態です。)
こういう樹脂は、反応初期液状の状態で、普通の熱硬化性樹脂の加工法で、例えばカーボンファイバー等に含浸させて“Bステージ”の状態に一次加工しておき、それを塑性加工で最終製品の形状にして、加熱硬化で三次元架橋させる・・という加工方法が可能です。
ゴルフのカーボンシャフトや、釣竿のカーボンロッドはそういう方法で作られます。
この“Bステージ”のモノを“プリプレグ”と言い、それを供給するメーカーと、それを最終製品化するメーカーは、しばしば別です。 プラスチック類の加工は膨大な種類の職人芸と技術とノウハウが混在する世界ですが、この例のように、その加工法を根本的に制約するのが、この「熱可塑か?熱硬化か?」という要素です。
閑話休題
・・ところで・・ 硬化剤を混ぜて、固まったら熱可塑性樹脂になるような樹脂はあるのか・・
化学工場で繊維等の熱可塑性樹脂を作る工程は、正にそれです。
分子を直線的に正確に長く成長させるには、原料の精製や精密な反応管理が必要です。
(でないと、反応が途中で止まって短い分子しか出来ません。つまりロクな製品が出来ません)
(でないと、反応が途中で止まって短い分子しか出来ません。つまりロクな製品が出来ません)
だから現場で固めるような荒っぽい使い方をする樹脂は、原則的に3次元架橋にします。
何処かで不連続になっても、多数の結合箇所があるので、別の箇所で繋がり続けるから必ず巨大な分子に成長してくれる(つまり、固まってくれる)からです。
だから、現場用の、直鎖状に重合する樹脂は(多分クレームになるので)売られていません。
何処かで不連続になっても、多数の結合箇所があるので、別の箇所で繋がり続けるから必ず巨大な分子に成長してくれる(つまり、固まってくれる)からです。
だから、現場用の、直鎖状に重合する樹脂は(多分クレームになるので)売られていません。