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アボガドロ数

【駄作】 アボガドロ数物語

物質はツブツブが一定数集まって出来ている!酸素や水素は二個のツブツブで出来ている!
それを“分子”と名付ける・・・・・と主張したばっかりに・・・
 
       「ぎゃっはっは、ヒイーおかしい・・」と世間から さんざん笑い者にされ
 
    失意のうちに世を去ったのがアボガドロさんです。
現在は・・「アボガドロさんの方が正しい!」とされ、物質(分子)は、原子(アボガドロさん言うところのツブツブ)が集まって出来ているとされ、その原子も素粒子が集まって出来ているとされ、素粒子もクウォークが集まって出来ているとされ、もしや?クウォークも?・・と疑心暗鬼する人が沢山いるくらいで、タイヘンな様変わりです。
今や、「森羅万象はツブツブの離合集散である」とまで断定されかねない情勢です。
 
ところで・・上記のごとく、原子は陽子、中性子、電子、その他幾つかの粒子?・・によって構成されているらしいのですが、その重量の殆んど全ては陽子と中性子が占めており、両者のそれは(アバウト0.000000000000000000000000166gでほぼ同じです。
(電子の重さ+陽子の重さ=中性子の重さ で、電子の重さは陽子と比べればゴミみたいなものなので無視する)
 
だから、原子や分子の陽子数と中性子の和この重さをかけたら、その原子や分子のアバウトの重さになります。例えば、陽子数1、中性子数0である水素原子は約0.000000000000000000000000166gであり、陽子2個中性子2個であるヘリウムの重さはその4倍陽子7中性子7である窒素はその14倍、陽子8中性子8の酸素はその16倍です。
そういう背景があるので、個々の原子や分子の重量比は原理的に、このように“整数比”になるように 運命付けられています。
 
   (つまり、化学反応の各成分の重量収支は、全て、整数比になる!・・という原理です。)
 
アボガドロさんは、気体の分解や合成の実験をして、その整数比になる理由として、モノは分子の集合体であり、分子は単位になるツブツブが集まって出来ており、そして、気体は、分子数が同じなら、同じ体積になるという正しい論をブチ上げ、そして世界中から無視されたわけです。
 
それはともかく・・アボガドロさんが名誉を挽回した後・・推察するに・・・原子や分子の話をする度に、こんな数字を出され、虫眼鏡でゼロの数を勘定させられた昔の老眼の連中が、「これではタマラン。」「何か工夫をしようではないか。」「ゼロを数えなくてもいいように、整数の重量になるように、一定の個数を纏めよう。」 「異議なし!」・・という事になったようです。
 
「水素原子の重さがちょうど1gになる数を一纏めにするのがいい。」「いや、酸素原子が16ポンドになる数にすべきだ。」「いや、窒素原子が14トンになる・・」「いや、炭素原子が12貫・・・」「ヘリウムが4オンス・・」「フッ素が19カラット・・」・・・・・「やかましい!どれかに決めろ!」・・と、“どんぐりと山猫”みたいなストーリー展開の後、炭素グラムが選ばれました。
 
(炭素の陽子数は6中性子数も6、合計12なので・・)
炭素12g中の原子数を数えた・・結果がアボガドロ数です。
 
この数を“アボガドロ数”、この数だけ集まった集団を “モル(mol)”、この数だけ集まった(つまり1モルの)原子や分子の重量(正確に言えば“質量”)をそれぞれ原子量、分子量と呼称する取り決めになりました。・・一件落着・・
 
上記0.00・・・166にアボガドロ数を掛ければ、(当然ながら)1になります。
それに原子の陽子と中性子の和を掛ければアバウトの原子量が整数で表示されます。
( それがどうした?・・って?その事が重要である訳は・・)
 
酸素の原子量は16、水素の原子量は1、炭素の原子量は12、窒素の原子量は14という具合に簡単に覚えられますから、水H2Oの分子量は1×2+16=18 メタンCH4の分子量は12+4=16、アンモニアNH4の分子量は14+4=18、エチレンC2H2の分子量は24+2=28・・といった具合に、分子量が、暗算でもパタパタと計算出来ます
だから、これらを個数で1:1:1:1・・の割合に混ぜたい場合は、それぞれを18g、16g、18g、28g計量して混ぜれば良いとすぐわかります。 同様に、水10個とエチレン1個の割合で混ぜたい場合は、180gと28gとすぐ暗算出来ます。(勿論Kgでも、オンスでも貫でも、単位は自由です。)
(これがもし、水素の原子量が0.7938287051だったら・・ 炭素は9.5259444612・・酸素は12.7012592816・・窒素は11.1136018714・・・・計算しようなんて気になりますか?・・なる?? ! m(_ _)m )
 
   しかし・・・「何で表示しても良いはずなのに、何で グラム なのか?」・・・といえば。
 
ドングリさんが言うように、どんな単位で数えようとカラスの勝手であり、炭素の重さがちょうど12××になるように、或いは、酸素原子の重量がちょうど16△△になるようにアボガドロ数を決めれば、当然、全ての原子の原子量が、(上記の水素や酸素の例で分る通り、)ほぼ整数になり、それはそのまま原子中の陽子数と中性子数の和になりますので、12gでなくて12トンでも12貫でも12匁でも12小錦でも12カラットでも何でもいいんですが、で決められチャッタので、もういまさら異議申し立ては通りません。
 
【何で炭素なのか】・・酸素原子16gの数を数えても、水素原子1gの数を数えても、或いは何でも、同じ結果になるハズなんですが・・・地球上ではそれぞれの原子に性質が似て、重さが違う同位体という親族が不均一に混ざっているため、それらを同一重量採取して数えると、サンプルの採取場所によってアボガドロ数がビミョーに変わってしまうという不都合があります。そこで、取巻きが少なく、何処でも何時でも体重が変らない、何処にでも居る一番単純な奴を探していたら・・炭素だった!・・というのが、「何で炭素なの?」の答です。
炭素の同位体である(放射性の)C14は、上空で、普通の炭素であるC12が、太陽から飛来する中性子2個を取り込むことによって(・・とばかり思い込んでいたら、C14は窒素であるN14の陽子が中性子と置換する事によって、成生するのだそうです。失礼しました。訂正します。)定常的に生成し、大気中で均一に攪拌され、定常的に消滅している結果、C12に対する比率いつでもどこでも一定になっています。だから、どこで採取した炭素であっても、同一重量なら、同一の原子数です。
 
   ・・ということで・・全部整数で計算しようとした横着者の目論見はし崩れました。
 
そういういろんな同位体が不規則に混ざっているという理由により、現実の水素の1モルの重さは正確な2gにはなりませんし、酸素は正確な32gにはなりません。
                       “細かい端数が付きます。
しかし、それは、現実の元素を採集して精密に計測して得られた、「炭素12の1モルの重さを12gと仮定したらこうなりますよ」という「相当に正確な」実測値です。
精密派の方々は、仕事をする時には、この細かい端数も使います。
(私のような)めんどくさがり屋の横着者は窒素の原子量は14、酸素は16、フッ素はえーと9番目だから多分18(実は19)だ・・などと、資料も見ずに整数で計算しています。
それでもアバウト正確です。(・・と思っています。)アボガドロさんのお陰です。
 
【駄作の蛇足 年代測定】・・さて、現実の炭素がどういうものであるか・・という上述のストーリーの帰結として、大気の炭酸ガスを取り込んで成長するあらゆる場所の植物や、日々それを食べている動物や、さらにそれらを食べて生活しているあなたの体のC12とC14の比率は全て大気中のそれと同じになります。
   そして、昔生きていた生物のそれも当然全て同じだったと考えられます。
しかし、食べるのを止めた(=死んだ)時点から、(放射性であるC14は、正確な一定比率でC12に変るので、)C14の比率は必ずゆっくりと正確に着々と減少してゆきます
考古学や古生物学でお馴染みのC14年代測定法というのは、この現象に着目し、死体のC12とC14の比率を精密計測して死後の経過時間を計算する手法です。
しかし、ただでさえ微量であるC14が5370年毎に半分に減ってゆくのですから、経過時間が長くなる程、徹底的な微量分析の世界になり、超極端な測定精度が要求されるようになりますので、現状では、この方法では100万年を超える年代測定は困難なようです。
 
   ということで、あなたも、赤い糸でエポキシ当量と繋がっています。・・・ちょっと強引過ぎるか・・
 
蛇足のおまけ  原産地特定
同位体同士は重量が僅かに異なるだけで、化学的性質は基本的に同じですから、化学的手法だけでは分離出来ません。だから分離するには、重量の僅かな差異を利用する 精密で特殊な物理的装置が要ります。(原爆が簡単に作れない理由の一つは、原料であるウラン235をウラン238から分離するそういう装置が簡単には作れないからです。)
 
質量分析装置は我々貧乏人には触る事が出来ない“その世界”に属する機器ですが、それを使うと同位体の分析まで可能だそうで、C14の分析も、当然そういう機器で行われます。
 
ところで・・“場所毎の、同位体含有量や同位体成分の差異が一番少ない”というのがアボガドロ数決定の基準物質として炭素が選ばれた理由でしたが、逆に見れば、“他の元素は地域によってそれが異なる”という事なので・・その差異が分析出来れば産地の特定が出来るという事になります。
 
”物”は色々な地域で産し、持ち出され、流通しますが、上述の理由により、通常のどんな化学的或いは物理的改変をされても、その同位体組成は変化しませんので、ある二つの製品のある成分の同位体組成が同じなら、その成分の産地が同じだった可能性が高くなります。
 
こうして、化学的組成が同じ土や石や化学製品や金属製品であっても、特定成分の同位体組成を調べれば、“本当に同一かどうか?” という判定や、原産地特定が出来ます。
 
   これは化学捜査や歴史的遺物の産地推定に利用されています。
九州から出土した、サンカクなんとやらという銅鏡の産地が、中国か?日本か?という判定にも・・
    砒素カレー事件で二つの砒素が“同一”かどうかの判定に使われたのも、コレです。
 
   「全ては“どんぐりと山猫”に帰着します。」・・これも強引すぎるか・・
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