本文へ移動

毒物(抗菌剤、抗カビ剤)混入のテクノロジー

塗料への毒物(抗菌剤、抗カビ剤)混入のテクノロジー

トッツァン!!  毒を“ペンキに混ぜて”塗ると、何かええことあるんか?
効き目を長持ちさせるため、肥料や農薬を、ゼオライト等の多孔質の粉に滲み込ませて、長く チビチビと 溶け出すように細工してから、畑に撒くやり方があります。
こういう性質を、中国風に“除放性”と呼び習わしており、除放性を持たせる、除放性を強化する、という具合に使います。
 
毒は塗料に混ざると、除放性になります。
 
そして、もう一つ
毒は塗料に混ざると、貼着性にもなります。
 
散布した農薬が 葉っぱの表面にはじかれて落ちてしまわない様に、付着し易い様に改質するための添加剤を貼着剤(テンチャクザイ)というそうですが、それと同じく、塗料は毒物の貼着剤にもなります。
 
 
で、毒物混入型防カビ塗料抗菌塗料の処方箋というのは、結局、どの塗料にどんな毒物(普通は薬剤と言います)どのくらいどういう形式で混ぜるかを記したものです。
 

【毒物入り塗料に使う、毒物はどんな物か】

言うまでも無いことですが、水虫の薬がマラリアに効かず、ペストの薬が水虫に効かないように、抗菌剤、殺カビ剤といっても、「全部の菌や黴を殺せる」わけではありません
 
そして 毒物(薬物)の中には、ある菌だけにしか効かないものや、多種類の菌に効くものが有ります。
          そういった効く範囲のことを、“抗菌スペクトル”といいます。
   “抗菌スペクトルが広い”・・・というのは、“いろんな菌に効く”・・・という意味です。
   (スペクトルの狭いものを何種類も混ぜれば、全体のスペクトルは広くなります。)
 
さて、世界中を走り廻る船の船底塗料は、世界中のあらゆる付着生物に有効でないと いけないので、昔使われた 水銀・鉛・砒素・スズなどの化合物は、いずれも 広い抗菌スペクトルを持っています。
(しかし、やたら広いということは対象外の生き物に対しても広く効く可能性が大きい ということであり、現実にその通りであることが“分かった”ので、今はすべて使用を禁止されています。)
 
一方、相手がカビになると、話の展開はガラッと変わります。
 
知り合いに(株)プルトサイエンス(03-5608-6941)という防カビ塗装の専門会社があります。
ウイスキー工場や食品工場等の壁や空気からサンプルを採取して培地に移し、培養して菌種を特定して、それに効く抗菌剤を塗料に配合して抗菌塗料を作り施工する、というマニアックな仕事をなさっていますが、社長の話によると、今はもう、何を作っている会社の どの設備か聞いただけで、生えているカビはほとんど100%予想できるそうです。
 
つまり、防カビ塗料の特徴は、広いスペクトルの毒物を使わざるを得ない船底塗料と違い、狭いスペクトルの(周囲に対する安全性の高い)毒物を使って、特定のターゲットを狙い撃てることです。
 
   ・・・で、DIYで売っている汎用の防カビ塗料はどこにターゲットを定めているか。

           ・・・多分、家庭で見られる普通のカビのハズです。
 
   そういう事情があるので、 普通でない場所の見知らぬカビ確実に押さえたいなら・・・
 
専門会社に頼むのが無難です。
 

【毒物入り塗料に使う、塗料はどんな物か】

ハードボイルドギャングもの小説には、“コンクリート詰めにして海に沈める” という、無国籍埋葬法が出てきますが、そうなるともう外に出られません。
(“化けて出る”というのも実際には難しいようです。)
 
それと同じように、(重防蝕に使うような)環境遮断性の良い樹脂に毒物を入れると、“内部に封じ込められて、外に出られない” ということが起こります。
そうなると当然、毒物の効果は出ません
 
ですから、防カビや抗菌塗料の樹脂としては、ラッカーのような非架橋型や、あるいは架橋率の低い物が使われます。
(接着剤の選定法の中の、“架橋型接着剤と非架橋型接着剤”を参照してください。)
 
   そういうことなので、“性能が良い重防蝕ライニング剤に、毒物を混入して効果を出したい”というのは、二律背反の趣があり、かなり難しいようです。
 
ただし、上述の(株)プルトサイエンスさんは、苦心して、弊社のファンデーション#123に混ぜて効力を持つ防カビ剤と、配合法を見つけたそうです。
   ・・・さすがプロ!・・・・ゴルゴ13も裸足で逃げた・・・・という噂の狙い撃ち、防黴塗料が必要な方は、03-5608-6941に電話してください。
   (紹介料100円よこせ・・・・とは言いません・・うちは太っ腹ですから・・・・・・・貧乏だけど・・・・)
 

【まとめ】

除放性農薬も船底塗料も防カビ塗料も 薬剤の 除放 貼着という視点で見ると、“薬物を何かに混ぜ込む”という、同一の形式で作られています。
そういう意味では、プラスチックに混ぜる可塑剤などの添加物も(溶出しないことを望んでいるにしても)複合形式は同じです。
 
   こういった複合体から、その成分が溶出するかしないかは、要するに、程度の問題です。
溶出量をコントロール出来なければ、環境汚染材料と称され、うまく出来れば、農薬、船底塗料、抗菌塗料等と称されます。
 
 
株式会社ソテック 〒272-0004 千葉県市川市原木2165 TEL.047-328-6390 FAX.047-328-6392 1.防蝕ライニング設計、施工 2.防蝕ライニング材・接着剤・製造、販売
TOPへ戻る