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塗り床

セメント以外の物(一般的には樹脂)を表面に塗りつけて、コンクリートの弱点をカバーしようという考え方です。
エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等、いろいろな系統の材料が市販されています。
(多少乱暴な表現ですが・・)細かいことを言わなければ、どれでも性質は同じです
硬いもの・柔らかいもの、厚いもの・薄いもの、すべるもの・すべらないもの、色のついたもの・透明のもの等など、どの系統の材料を使っても同じように出来ます。
混ぜ物をしたり、原料を組み合わせたりといった操作で、沢山の“バリエーション”が出来ることも同じです。
(個々の市販品は、物性の差異を持っていますが、それは材料系統の違いによるというよりは、製品コンセプトの違いによるものです。)
 
施工法は、防蝕ライニングの“実技”の項に記したように、だれでもできる(簡単な)ものです。
 
またその技法は、塗り床以外にも利用出来ます。 例えば・・
遊園地の山や屋上庭園の偽岩やレジャーボートは、FRP成型品です。
 
人造大理石は、石灰岩を充填材にした レジンモルタルです。
 
水溜りができず、走行騒音も少ない透水性舗装は、透水レジモルのアスファルト版です。(作り方は、まったく同じです。)
 
視点を広くもてば、スケートリンクやジャンプ台やスキー場も塗りもの仕様の一種と考えられないこともありません。(雪や氷の塗りものです)
 
定型にこだわらなければ・・そういう広い意味の”塗りもの”は、いろいろあります。
 
シリコン系やフッ素系のオイルを溶剤に溶かして塗りつけると、水(や油)を撥くようになります。
これによって、苔等の付着を防止したり、防蝕したりすることが可能です。
・・・衣類や傘の撥水剤も同じものです。
(信越シリコーン㈱、東芝シリコーン㈱、東レシリコーン㈱等のシリコン樹脂メーカーが、作っています。)
 
また、有機系の材料だけでなく、無機系のもの含浸させて、表面の緻密さや性質を変える、という製品もチラホラ出ています。
(中身は各社、企業秘密のようです)
シリカやアルミナの微粉を 水や溶剤に分散させたものは、日産化学等から発売されています。
 

塗り物の応用例      ノンスリップ加工

コンクリート床のところで例に挙げた、“豚舎”の続きです。
その道のある専門家が言うには、彼らが目指すブタの理想体型は“イモムシ”なんだそうです。肉になる部分だけ必要で、他は要らない。足なんか無駄だ、細くていい、無いほうがもっといい・・・ということで、養殖のブタは、あの大きな体を細短い足で支えています。そこで、もし、床が滑ったら・・・すぐに脱臼や骨折をします。
(そうなったら、ただちに解体し、食品に加工するそうです。怪我が直るまでは、太り方が遅いので、餌効率・・餌が肉に変る割合・・が低いからだそうです。)
 
だから、豚舎の床を塗装するなら、“ノンスリップ加工”にしないといけません。
 
そのノンスリップ加工の方法ですが・・塗料が乾く前に硅砂を撒いて付着させ、その上に仕上げ塗りをする、というやり方が建築塗装業界の標準施工法です。
一般的用途は、それでもいいのですが、豚舎に限っては、硬い硅砂ではブタの爪がすりへってしまうキケンがあります。(それはマズイんだそうです。)
こんな場合、我々は防滑材として、砂の代わりに“クルミガラ”、あるいは“アンズのたねの殻”を使うことにしています。
これらは、硅砂ほど硬くないので、爪に負担がかかりません。
クルミガラは、車のタイヤにスパイク代替品として、練りこんで使われている程ですから、耐久性も硅砂より良好です。(価格は硅砂の10倍くらいしますが、施工費全体としては大したコストアップには、なりません。)
 
このように、防滑材は、用途に応じて材質や形状を変えます。
他に、アルミナ、カーボランダム、ガラスビーズ、ゴムチップ等、いろいろなものが使え、それぞれ、特徴のあるノンスリップ表面になります。
 
ノンスリップ化は、レジンモルタル、あるいはその変種である透水モルタルで行うやり方もあります。
 
また、人が歩く場所であっても、一般的な平滑塗り床は、水に濡れると良く滑りますから、水を使う作業場では、安全および、疲労防止の観点から、ノンスリップにする方が合理的です。
 
但し、いずれのノンスリップにせよ、表面に凹凸ができると、それだけ“汚れがからまりやすくなる”というデメリットが生じます。(裸のコンクリートよりはましですが・・・)
 

エンボス加工

これは、防滑材をまったく使わないで、表面に細かく凹凸をつける方法です。
例えば、RIMスプレーで、施工するとき、最後に遠くから、横に向けてフワァっと、軽くスプレーすると、ミストになった塗料が点々と仕上がり面に付着し、そのまま固まります。
こんな仕上りを“エンボス面”といい、ノンスリップ性があります。
防滑材方式ほどのノンスリップ性はありませんが、その分、より汚れにくくなります。
 

つや消し仕上げ

何であれ、表面が徹底的に平滑になると、ツヤが出てきます。
逆に、表面に細かい凹凸があると、光が乱反射するので、ツヤが消えます。
だから、つや消しの基本技は、表面に細かい凹凸をつけることです。当然、多少のノンスリップ性も加わります。
 
方法として、例えば、塗料にシリカ等の粉体を分散させ、その粉体の粒径より薄く塗ると、それだけでつや消しになります。
 
昔のすりガラスは、表面をフッ酸でエッチングして作ったそうですが、樹脂でもエッチングすればつや消しになります。
サンドペーパーで軽くこすったり、サンドブラストしてもそうなります。
(但し、こういう原始的技法は実際には先ず使われませんが・・)
 
樹脂に添加剤を分散させておき、表面にブリードさせるのが、つや消しの標準的技法です。
 
つや消しは、一般的には外観の好みのために行われます。
 
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