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グラスファイバー

3)グラスファイバー

ガラスを細~く引き伸ばせば、強い繊維になります。
これを、用途に合わせて加工した物が製品として売られております。
 
防蝕には、糸を束にして平織したクロスと、束にした繊維を収束剤というノリで固めてピンとまっすぐ伸ばし、5㎝くらいにカットしたチョップドストランドを、さらに不織布状に成形したチョップドストランドマットを使い分けます。
クロス
ロービング
チョップドストラン
チョップドストランドマット
                      (日東紡績株式会社カタログより)
 
もともと、これらの製品の主たる用途は、漁船、レジャーボート、スキー板、水タンク等のFRP成型品で、防蝕ライニング用に作っている訳じゃありませんので、その点に注意して使い分ける必要があります。
 
それには、まず製品を知らねばなりません。
日東紡や旭ファイバーグラス、ユニチカ等のカタログを取り寄せて調べると、いろんなことが分ると思います。
が・・・多分、どれをどう選んだらよいのか分かりにくいと思いますので、防蝕屋の視点で、グラスファイバーの解説をします。
チョップドストランドマット

ガラスの種類

用途別に、いろいろの種類がありますが、防蝕用としては、耐酸性のよい Cガラスが 一般的です。
(が、EやT、Aを代用しても、とくにトラブルは 生じません。)

収束剤

メーカーの方で、不飽和ポリエステル用決めつけて作っていますので、ユーザーに 選ぶ自由は有りません。
つまり、(不飽和ポリエステル樹脂の成分である)スチレンモノマーで溶けるタイプの収束剤が、使われています。
だから、これをエポキシ樹脂や ウレタン樹脂で使うと、ものすごく作業しづらいです。 メーカーに、エポキシやウレタン樹脂でバラけるようなタイプを・・・なんて、お願いしても、小口のニーズに いちいち対処できる筈は 有りません。
・・・で、どうするか?
 
樹脂の方を、この収束剤を溶かすように 細工するしかありません。 一番安直なのは、塗料メーカー等がやっているように、トルエン等の溶剤を 少量放り込む やり方です。
 
しかし、樹脂ライニングに 溶剤を用いると、いろいろと よからぬ物性が 付与されてしまいます。(樹脂ライニング材に溶剤を加えるとどうなるか  参照
 
皆さんは、絶対マネなさらないように、ご忠告申し上げます。
 
弊社の対策は公開しません。 なぜだ! とは言わないでチョーダイただ、何もしなくても 何とか 使えることは使えるので、我慢してください。

表面処理

ガラスと樹脂は、あまりうまく 接着しません。(一見、接着したようにみえても、水につけると、水が樹脂とガラスの界面に侵入し、接着力が急速に低下してゆきます。そうなると、強度は落ちるし、腐蝕性物質の拡散も、し易くなります)
 
それで、接着力を上げるため、ガラスに表面処理を施してあります。
通常、シランカップリング剤と呼ばれる 有機系化合物(信越シリコーン、東芝シリコーン、東レシリコーン、日本ユニカー等が発売しています。)を使います。 一般的なのは、ビニルシラン、アクリルシランといったタイプです。 当然これも、不飽和ポリエステルやビニルエステルを想定した処理です。 現在、それ以外を想定したものは、まず、手に入りません。 (クロム処理なら エポキシにも使えますが、最近なくなったみたいです。) そこで、エポキシでもウレタン等でも、これを使わざるを得ないという状況です。 そういうことで、それらの樹脂を使う場合、ベストの選択は望めませんが、それでも無処理よりはマシです
不飽和ポリエステルを使う場合は、こういった問題は 一切起こりません。 至れり尽せりです。)

体的に、何を買えばよいか

各社、基本的に同じ規格で作っていますが、名前の付け方は多少違います。              
1
2
3
4
CM
45
5FA
1040
(旭ファイバー)
MC
450
104
(日東紡)
EM
450
SS
1040
(ユニチカ)
     1)チョップドストランドマットの意
     2)1m2当たり450gという意味
     3)収束剤の使い方など各社独自の分類
     4)幅が1040mmという意味
 
JIS表示でEM450となっていたら、上記と同じもののことです。
 
防蝕仕様では、習慣としてこれを#450マット もしくは、ただ M と表記します。
(ほとんどのFRP仕様で、特に表示がなければ、これのことです。エポキシを使うときは、少し薄い#380くらいが 使い易い と思います。)
 
その他メーカーは、日本電気硝子(株)(メーカー)、日本板硝子(株)等です。
ガラスクロス
50mm幅~100mm幅のテープ状のものは、チョコマカとした修理、メンテナンスに重宝します。
包帯を巻く要領で、ギュっと巻きつけて、配管の穴をつぶしたりするには、ガラスマットより使い勝手がいいです。(慣れれば、どちらも同じですが。)
 
1m幅のクロスを使ったFRP仕様が、下水道事業団の仕様リストなんかに載っていますが、(大昔は、それがエポキシFRPの主流でした)いまどき、ナンセンスと思いますので、説明も省きます。(解説は、一般FRP仕様に入れます)
 
クロスの方は、未だにいろいろな表面処理が生き残っているようです。
ただし、メンテナンスの備品として一つだけ買うなら、不飽和ポリエステル用のビニルシラン処理品がお薦めです。
 
1)WF 2)230C 3)5 4)N 日東紡
 
1)ガラスクロスと言う意味
2)1m2当たりの重さ230g:Cガラスの意味(他に110、150、300、350等)
3)製品幅(㎝)(他に7と10がある)
4)収束剤の使われ方
 
その他、最後の仕上げ用に、ティシュペーパーを薄くしたような感じの 長繊維不織布(サーフェ-シングマット)があり、一般的なFRPの標準仕上仕様になっていますが、メンテナンス用としては、お薦めしません
その理由も、一般的FRP仕様の項に入れます。
なお、コンクリート橋脚等の補強に使うFRPは、防蝕FRPとは、コンセプトが異なり、強度要因のみを重視して施工します。
アラミドやカーボンファイバー等を、ピンと張った状態で 密に巻きつけないと いけません。 補強部材として FRPを成型するには、この他、余分な樹脂を可及的に削ぎ落とす等の工夫が必要であり、繊維も加工道具も工法も、防蝕とは多少異なります。
 
 
 
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