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生物着生の弊害と着生阻止の基本的な考え方

菌、カビ、藻類の着生阻止 & 下地の防蝕

●着生によるトラブル

例えば、木材は、椎茸やシメジ等の腐朽菌の着生によって分解されます
コンクリートは、腐敗菌が生産する代謝物によっても 腐蝕します。
観賞魚水槽の ガラスや壁、屋外設置の水処理施設は、セッセと掃除していないと、すぐ 藻が生えてきます。
船底はカキやフジツボが着生すると、速度や燃費効率の低下を招きます。
 
発電所の 冷却水路やパイプラインに 貝やフジツボが着生すると、ポンプの消費電力を増しますし、脱落して装置に詰まってトラブルを起こすことがあります。
食品加工場、養魚場、畜舎、病院などで、カビやバクテリアが繁殖したら”事件”です。

こういった、”生物の着生の防ぎ方あれこれ” を紹介します。
 

●生物着生を阻止するための基本的な考え方

1、生育の妨害(例:水分を除去して、生育しにくいようにする)
2、接着の妨害(例:表面を平滑にして付着しにくいようにする)
3、薬物や紫外線による殺害(例:殺菌剤入りの塗料を塗る)
 
の3つです。
 
1、生育妨害の原理(生育妨害は殺すということとは違います。*注1
 
あらゆる生物は、温度・水分・栄養などといった、その種に特有な生育条件がそろった状態でのみ 生育でき、その条件の一つでも欠けると、生育は止まります
 
生育妨害はそのことを利用します。
 
例えば、(あらゆる生物にとって必須物質である)水を除去するやり方は、乾燥食品に利用されています。
塩を大量に使う方法も(浸透圧によって)水を取り除く方法の変形です。
 
生育限界を超えて 温度を下げるやり方は 冷蔵庫に使われていますが、逆に上げるやり方も使えます。・・(鍋で煮ている最中に食物が腐った例はありません。)

光合成をする生物、例えば藻類には、光が不可欠ですから、光を遮断すれば着生しません。
例えば遮光塗料を塗れば、屋上のFRP受水槽内の藻の発生を防止出来ます。
 
生育妨害というのは、そういうやり方です。
 
 
2、接着の妨害
 
カキ、フジツボ、藻等の着生型生物は、手の込んだいろいろな付着方法で、あらゆるものに付着して 生長します。*注2
こういう生物が、付着できにくい表面にしておく、というのが接着の妨害です。
 
例えば、“付着しにくい表面を作っておいて、適宜こすり落す
といったようなやり方です。
パイプラインであれば、ピグクリーニングで、こすり落とす事も可能です。
 
(経験的には、疎水性の素材で、できる限り平滑な表面を作れば、付着し難く 落とし易い、という傾向があるようです。)
 
しかし一般に、付着性生物の付着能力は高いので、妨害する側も あの手この手を併用して、相乗効果で阻止する必要があります。
 
例えば、流速を上げたり、温度を上げたり下げたり、電気を流したり、酸素を無くしたり、といった方法です。
 
 
3、毒物や紫外線による殺害
 
ここでいう毒物とは、もちろん対象となる生物にとっての毒物であり、(水道水に加える)塩素や殺菌剤、殺虫剤、抗生物質等のことです。
人間や他の生物にとっても有害かどうかは、とりあえず別の問題です。)
 
表面に毒物を塗って、生物の着生を防ぐことは広く行われており、例えば船底に藻や貝やフジツボ等が着くと、艇速が落ち、燃料を浪費するので、それを防ぐ目的で“船底塗料”*注3というものを塗ります。
これは、塗料に毒物を混ぜたものであり、防カビ塗料や抗菌塗料混ぜる毒物が異なるだけで、本質的に同じ考え方です。*注4
 
紫外線照射については特に説明はいらないと思いますので省略します。
 

いくつかの実際の仕様例を解説します。
耐生物仕様を組む時の参考にしてください。
 
 
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